それから、照火はしばらく菫の方を見ていた。すると、菫はスクッと立ち上がり、洸の方を向いた。
「ねぇ、洸さん。私の『力』ってなにか教えて。だいたい分かってるんだけど、一応ね」
そう言って菫は人差し指をピンとたてた。するとボッという音を立てて、小さな火の玉があらわれた。『力』をコントロールできているようだ。
「ふーん。菫の『力』も発火現象(パイロキネシス)みたいだね。まぁ一応、確認のためにっと」
洸は今までのように能力評価(アビリティバヴレーション)を使い、菫の方を見た。
「ふん、ふん。なるほどー。これは面白い『力』だね!」
菫は首をかしげた。
「面白い『力』?」
「うん、うん。なかなか珍しいよ。ずばり、あなたの『力』は能力模写(フルコピー)。強さは3ぐらいかな」
「ふるこぴー?」
「うん、フルコピー。えっとね、この力は見た人の能力を模写(コピー)する『力』なんだ。勿論、さっき菫が火を使えたように『力』もコピーできるよ」
「へぇー、面白いなぁ」
「でもその『力』、少し使い方で注意しなきゃいけないから」
「使い方?」
菫は洸に顔を近付けながら訊いた。
「・・・えっとね、まずあなたぐらいの『力』の強さだったらコピーできる『力』の数は3つぐらい。4つ目をコピーしようとすると、一つ目が消えるよ。あと、あまり強すぎる『力』はコピーするのに時間がかかるから注意して。それと、『力』をコピーしたからといっても、オリジナルと同じ強さってわけじゃないからね」
「うん、わかった」
菫は大きくうなずいた。
全員の『力』の解析が終わったとき、
ピンポンパンポン♪
校内放送のようなチャイムがなった。
『2時間が経過しました。それでは二次試験school RPGをスタートします。終了時間は24時間後。それまでに全滅するか、1チームだけ残るかしたら、その時点で終了です。また、タイムオーバー時には、その時点で残っていたチームがすべて合格になり三次試験がスタートとなります。それでは健闘を祈ります。せいぜい、架空生物と遭わないようにがんばってください』
愛流の声が始まりを告げた。