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「あれ?いつのまに愛流いなくなってたんだろ」
洸は辺りをきょろきょろと見回した。確かにさっきまでいた愛流はいなくなっていた。まぁさっき放送があったから、そのためにどっかにいったのだろう。
唯はさっきまで座っていたが、すくっと立ち上がって、
「よし、放送もあったことだしそろそろいくよ」
「行くってどこに?」
「ん?そりゃ決まってんじゃん。校内を探索しにだよ。ほかのチームと戦いにね」
ついにきたかと照火は思った。おそらく雫たちもそう思っただろう。
はやくいこう、というような目でこっちを見てくる唯に雫はこう訊いた。
「ねぇ、戦うってさ。人殺しちゃうんじゃないの?だって、あんな超能力みたいなの使ったらさ」
それは照火も思った。いくら自分が生き返るためとはいえ、他人を殺したくはない。いくら少人数だけしか生き残れないからとはいえ、傷つけることはしたくない。
「えー、ねぇみんな忘れてる?みんな死んでるじゃん。これ以上死にようがないよ(笑)」
「・・・」
確かに・・・。普通に話したりしていたから、実際今でもあんまり死んだという実感がわかない。でも、死なないっていうならどうなるんだろう。
「えーっとね、ここの世界で殺されるとそのまま天国行きになるよ?まぁようは成仏だね。まぁ成仏って言っても、未練残ったまんまだけどね」
「・・・・・・」
それじゃあ結局、死ぬのと同じような気がする。
「ほら、そんなこと気にしないでいくよ」
唯と洸が照火たちを教室から追い出すように廊下に出した。
「あ、そうだ先言っとくけど」
洸がこっちを向いていった。
「私たちはあなたたちに一切手助けはできないからよろしくね。まぁアドバイスぐらいはいいけど」
「え!じゃぁ僕たちだけで戦うの?無理、むり。絶対無理だよ」
照火は顔をぶんぶんと振って一歩身を引いた。
「無理じゃないって(笑)。照火もほかのみんなもちゃんと全員『力』覚醒してるじゃん。大丈夫だって」
唯はなぜか満面の笑みでそういってきた。
(本当に大丈夫なのかな・・・)
照火たちはそんな唯の言葉に不安になった。