いきなり叫んだ飛鳥を見て照火が目を丸くしていると、
「なぁ、お前火の玉もっとでっかいの作れるか?」
「ん・・・」
でっかい火の玉・・・。さっきは手が熱かったので力を込めるのを途中でやめた。それであのサイズなら、多少我慢すればもう少し大きい火の玉を作れるかもしれない。
「多分まだ大きいのは作れると思う」
「じゃあ、できるだけ大きい火の玉を作ってドラゴン(あいつ)に投げつけてくれ」
「え・・・でも・・・」
照火は躊躇った。さっきの火の玉じゃほとんどダメージがなかった。しかも逆に怒らせてしまった。今回も同じようになるのではないか・・・。
「いいから!俺にいい考えがあるんだ」
飛鳥は俺を信じろと言った。照火は一瞬迷った。飛鳥を信じていいのだろうか。だがその迷いも長くはなかった。すぐ決まった。理由は簡単。飛鳥の眼。それがとってもまっすぐな眼だったから。
「うん分かった!」
照火を大きくうなずくとドラゴンのほうから少し遠ざかり、立ち上がった。そして右手に力を込める。するとドラゴンがまた炎の予備動作に入った。
「くっ・・・」
急がなくては自分が焼かれてしまう。さらに右手に力を込める。照火はふと飛鳥のほうを見た。飛鳥も立ち上がり、なにやらタイミングを見計らっているようだった。
(何をするんだろう・・・)
そう思いながらもさらに集中する。右手が熱くなる・・・・・・が照火は力を込めるのをやめなかった。飛鳥・・・。せっかくできた『友達』が言ってくれた作戦を無駄にはしたくないから。数秒後・・・。手に力が入らなくなってきた。力を込めるのをやめ、右手のほうを見る。さっきの数倍。30cmぐらいの火の玉。いやこのサイズなら火球とあらわしても良いだろう。その火球が浮いていた。
「照火!急げ!急いで投げつけろ!」
飛鳥が叫んだ。ドラゴンのほうを向くと炎を吐く寸前のようだった。
「うぉぉぉぉーーーーーーーー!」
照火はその火球を思いっきりドラゴンに投げた。すると飛鳥がまってましたとばかりに腕を振り上げ、それからその腕を力強く振り落とす。すると窓からさっきとは比較にならないほどの突風が吹きつけた。その突風は照火の火球に勢いをつけた。そしてさらに、その火球は風を巻き込んでさらに大きくなった。直径30cmほどの大きな火球。飛鳥は力を使う際に、ある細工をした。実際できるかできないかは一か八かだったが。風の中に酸素をおおめに含ませた。そのため火は酸素の作用で爆発的に大きくなる。ドラゴンはとっさに火を吐く。ドラゴンの火と照火の火球が衝突する。一瞬押し戻されそうになる・・・が、飛鳥がまた後押しとして風を送る。結果、照火の火球がドラゴンの火を圧倒する。火球がドラゴンを包む。
グガァァァァァァァァァァァッァァァァァッァァァ!!!!!!
ドラゴンは大きな叫び声をあげ、どさりと倒れた。