小説『死神のシンフォニー【完結】』
作者:迷音ユウ(華雪‡マナのつぶやきごと)

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「やっ、やった!?」

ドラゴンはピクリとも動かない。

「やったな。倒したみたいだぜ?」

飛鳥は倒れているドラゴンのほうへ近寄った。そしてツンツンと触ってみたが反応はなかった。

「よかったな、照火。あそこでお前が『力』をコントロールできるようになっていなかったら、死んでたぞ?まぁもう死んでるんだが」

確かにあの時に『力』が使えなかったらこの部屋から出ることさえままならなかったであろう。

「いや・・・、せっかく2人目に『友達』になった君が作戦の考えてくれたんだもの。頼んでくれたんだもの・・・。それに答えてあげたくて必死だったからさ」

照火は少し照れながらいった。飛鳥は自分のことを友達と言ってくれて嬉しいようだった。照火の飛鳥に対する恐怖や恨みは少しづつ消えていっていた。

照火はその後ドラゴンをツンツンとつついていた。

「へーすごいなぁ・・・、ドラゴンってこんな皮膚なんだぁ・・・」

照火は結構ゲームをするので、ドラゴンを現実にさわれて結構はしゃいでいた。ツンツンツンツン。触っていたらいきなりドラゴンのからだに変化があった。

「!?」

ドラゴンのからだがシューっという音をたて黒い影になって虚空に消えていく・・・。数秒後にはそこにはまるで何もなかったかのようにきれいさっぱり消え去っていた。

「・・・。いきなり消えた?」

「照火おまえなにかした?」

飛鳥は直前まで触っていた照火に疑惑の目をむけた。

「そ、そんな。そんなこと僕にそんなことできるはずないじゃん」

照火も必死に弁解する。

「あぁ大丈夫だよそれ。愛流ちゃんの『力』が切れただけだから」

後ろから声が聞こえた。聞き覚えのある声。照火は後ろを振り向く。

「あっ、唯。いつのまに?」

後ろには唯がいた。というか向こう側に逃げていた、唯を含めた4人がいた。

「すごいねぇテルぅー。あんな化け物倒しちゃうなんて!」

雫はそう言って後、照火の横に飛鳥がいることに気付き顔をしかめた。照火はそれに気づき、
「大丈夫だよ、雫。飛鳥とは和解っていうか仲直りしたから」

照火がそう言うと、雫と菫はとても驚いたような顔をした。どうやら言葉を失っているようだ。まぁ驚くのもわからないことはない。ていうかわかる。なにせ、あれだけいじめる、いじめられるの関係だったのだから。場の空気が少し変な感じに包まれる。照火は空気を変えるために強引に話を戻す。

「・・・・・・で唯。『力』が消えたっていうのは?」

「ちょっと前にも言ったよね。愛流ちゃんは自分の『力』、『夢現』でドラゴンを作り出していたんだけど、どうやら照火は飛鳥と二人で倒しちゃってもう動けなくなったから、その『力』を愛流ちゃんが切ったんだよ」

「なるほど・・・」

確かに動けないただのものとかしたドラゴンに『力』を使い続けていたら無駄だろう。一応納得したところで照火は立ちあがろうとした、・・・がしかし膝に力が入らない。

「あ、あれ?どうしたんだろう・・・。力が入らない・・・」

飛鳥のほうを向くと飛鳥も同様に立てないようだった。

『力』は体力、精神力を消費する。

「照火たちは『力』使いすぎちゃったんだね。雫、手伝って。私は飛鳥の体力を回復させるから、照火をお願い。」

「え・・・お願いって言われても・・・、どうすればいいの?」

雫は少し戸惑いながら訊いた。

「えーっとー。さっき怪我を直した時みたいに体に触れなくていいから、手をかざしてイメージすればいいから」

それを聞くと雫はウンと頷き、照火に手をかざした。

「あ・・・」

力がだんだん戻ってくる。1分後には立てるまでに回復した。

「ありがとう、雫」

照火がそういうと、雫は少し照れながら、

「ん・・・、テルはドラゴン倒してくれたんだもん、当然だよ」
と言いながら赤く染まりかけた顔をそむけた。

飛鳥のほうも治ったみたいだ。照火はまた例の機械を見てみた。

「えっ?」

そして驚いた。

「どうしたの?」

表情を元に戻した雫と、菫がのぞきこんできた。

「えっ・・・?もう残り2チーム!?」

機械の画面の下のほうの数字はたった1桁。2の文字を表示していた。2・・・ということは、残り2チーム。照火たちのチームとどこかのチームだけ・・・。

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