「えっ・・・?」
その言葉に最初に驚きの意を示したのは、望美だった。望美は恐る恐る幸希のほうを向く。
幸希はただ「無表情」で「笑って」いた。
「幸・・・・・・希。なん・・・d」
台詞が終わる前に望美はどさりと倒れた。
そして、飛鳥、雫、菫の3人も。
「飛鳥、雫、菫!?」
なぜ倒れたのかがまったくわからない。
「ねぇ、起きてよ飛鳥!」
揺さぶってみるが返事がない。ただ気絶してるだけとは思えない。あきらかに「死んで」いる。すでに、全員死んでいるこの世界でその表現が妥当かどうかはわからない。しかし「死んだ」という言葉以外形容の仕様がない。しかしそれは殺されたといっていいのかはわからなかった。あらゆる子音、殺害方法と照らし合わせても子音がわからない。
それはまるで魂が抜かれたように、本当に、
死んでいた。
「おまえ!!!何をしたんだ!!」
照火は幸希のほうを、そして睨みつける。
「だからいっただろう。僕の『力』は『権利剥奪』だって。そいつらの生きる権利を消したんだ。簡単なことさ」
「お、おまえ!」
照火は立ち上がる。怒りがわいてくる。
幸希の横には望美が倒れている。
「望美はお前の兄妹なんだろ。何で殺したんだ!」
さらに怒りが沸いてくる。
「あぁこの『力』操作が難しくて」
幸希ははぐらかすかのようにいった。
「冗談を言うな!事実僕は生き残っているじゃないか!操作がむずかしいなんて嘘をつくんじゃない!」
フフフと幸希が笑う。
「んじゃ本当のことを言うと、君と一対一がしたかったんだよ」
「なに?」
「周りがいると邪魔されかねないからね」
「だからといって殺すことはないだろう!しかも、それを簡単なことだなんて・・・」
「殺す?何いってんの。もともとみんな死んでるじゃん」
「う・・・・・・。で、でも!」
照火は少し俯く。が、すぐ顔を上げて言う。
「みんな生き返ろうと必死になっていたんじゃないか!それをお前は」
そして最後に照火はこう訊いた。
「お前は他人を犠牲にまでして生き返って何がしたいんだよ」
幸希は黙り込む。
少しの間、沈黙。
しばらくの間のあと口を開いた。
「僕が生き返りたい理由・・・・・・。ただ『復讐』したいんだ」
「復讐?」
「そう、復讐」
「復讐って誰に」
照火は訊いた。
・・・・・・・・・。
「僕の家族を奪った、『誰か』に」
「!?」
「四年前に僕の家に強盗が入った。僕と、望美は学校に行っていた時だった」
それはその双子の悲しい過去だった。