小説『死神のシンフォニー【完結】』
作者:迷音ユウ(華雪‡マナのつぶやきごと)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

「えっ・・・?」

その言葉に最初に驚きの意を示したのは、望美だった。望美は恐る恐る幸希のほうを向く。
     
幸希はただ「無表情」で「笑って」いた。

「幸・・・・・・希。なん・・・d」

台詞が終わる前に望美はどさりと倒れた。

そして、飛鳥、雫、菫の3人も。

「飛鳥、雫、菫!?」

なぜ倒れたのかがまったくわからない。

「ねぇ、起きてよ飛鳥!」

揺さぶってみるが返事がない。ただ気絶してるだけとは思えない。あきらかに「死んで」いる。すでに、全員死んでいるこの世界でその表現が妥当かどうかはわからない。しかし「死んだ」という言葉以外形容の仕様がない。しかしそれは殺されたといっていいのかはわからなかった。あらゆる子音、殺害方法と照らし合わせても子音がわからない。

それはまるで魂が抜かれたように、本当に、

死んでいた。


「おまえ!!!何をしたんだ!!」

照火は幸希のほうを、そして睨みつける。

「だからいっただろう。僕の『力』は『権利剥奪』だって。そいつらの生きる権利を消したんだ。簡単なことさ」

「お、おまえ!」

照火は立ち上がる。怒りがわいてくる。

幸希の横には望美が倒れている。

「望美はお前の兄妹なんだろ。何で殺したんだ!」

さらに怒りが沸いてくる。

「あぁこの『力』操作が難しくて」

幸希ははぐらかすかのようにいった。

「冗談を言うな!事実僕は生き残っているじゃないか!操作がむずかしいなんて嘘をつくんじゃない!」

フフフと幸希が笑う。

「んじゃ本当のことを言うと、君と一対一がしたかったんだよ」

「なに?」

「周りがいると邪魔されかねないからね」

「だからといって殺すことはないだろう!しかも、それを簡単なことだなんて・・・」

「殺す?何いってんの。もともとみんな死んでるじゃん」

「う・・・・・・。で、でも!」

照火は少し俯く。が、すぐ顔を上げて言う。

「みんな生き返ろうと必死になっていたんじゃないか!それをお前は」

そして最後に照火はこう訊いた。

「お前は他人を犠牲にまでして生き返って何がしたいんだよ」

幸希は黙り込む。

少しの間、沈黙。

しばらくの間のあと口を開いた。
「僕が生き返りたい理由・・・・・・。ただ『復讐』したいんだ」

「復讐?」

「そう、復讐」

「復讐って誰に」

照火は訊いた。

・・・・・・・・・。

「僕の家族を奪った、『誰か』に」

「!?」

「四年前に僕の家に強盗が入った。僕と、望美は学校に行っていた時だった」

それはその双子の悲しい過去だった。

-33-
Copyright ©迷音ユウ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える