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「あれは・・・・・・」
洸が声を上げた。
洸、唯、そして時音の三人は照火のことを見ていた。三人はいなくなったといっても、別にどこに行ったわけでもない。ただすぐそばにいる。時音の『力』、『無認識(ノーイグジステンス)』で姿が認識できなくなっていただけだ。
「ねぇ、唯ちゃん。あれって・・・」
洸は唯に問いかけたが、唯はじっと照火のことを見ている。
そんな様子を見て、代わりに時音が答えた。
「そうですね。あれはおそらく『二重の覚醒(デュアルエコー)』ですね。それにしても珍しい。久しぶり見ましたよ私も」
洸はやっぱり、という顔をしてすぐ驚きの表情に変わった。
「発火現象の二重の覚醒といえば・・・・・・、『王の業火(パイロキング)』・・・・・・」
二重の覚醒は多くの死人(ひと)の中でもほんの一握りしかあらわれない特殊な『力』。500人に1人の割合ぐらいでしかあらわれない。
しかも、発火現象の二重の覚醒・・・・・・王の業火は今までに一人しか見たことがない。
昔、照火とおなじ『王の業火』を覚醒した死人(ひと)がいた。まぁ別の死神から聞いた話だが・・・・・・。
王の業火は物を燃やすだけの『力』ではないと・・・・・・。