小説『死神のシンフォニー【完結】』
作者:迷音ユウ(華雪‡マナのつぶやきごと)

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「あれは・・・・・・」

洸が声を上げた。

洸、唯、そして時音の三人は照火のことを見ていた。三人はいなくなったといっても、別にどこに行ったわけでもない。ただすぐそばにいる。時音の『力』、『無認識(ノーイグジステンス)』で姿が認識できなくなっていただけだ。

「ねぇ、唯ちゃん。あれって・・・」

洸は唯に問いかけたが、唯はじっと照火のことを見ている。

そんな様子を見て、代わりに時音が答えた。

「そうですね。あれはおそらく『二重の覚醒(デュアルエコー)』ですね。それにしても珍しい。久しぶり見ましたよ私も」

洸はやっぱり、という顔をしてすぐ驚きの表情に変わった。

「発火現象の二重の覚醒といえば・・・・・・、『王の業火(パイロキング)』・・・・・・」

二重の覚醒は多くの死人(ひと)の中でもほんの一握りしかあらわれない特殊な『力』。500人に1人の割合ぐらいでしかあらわれない。

しかも、発火現象の二重の覚醒・・・・・・王の業火は今までに一人しか見たことがない。

昔、照火とおなじ『王の業火』を覚醒した死人(ひと)がいた。まぁ別の死神から聞いた話だが・・・・・・。
王の業火は物を燃やすだけの『力』ではないと・・・・・・。

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