-13
「死神は、君と同じ存在なんだよ」
神様はゆっくりとそう言った。
「えっ?どういうこと?」
「僕たち、死神って呼ばれている存在は、今の君と同じ死人なんだ」
「っ!?」
「ここまで話したから言うけど、ここから先はほとんどの死神も知らないはなしだから」
照火はごくりと息を飲む。
「まぁ僕は例外として、ここ、地獄に来る死人(ひと)の中でたまに生きていたときの記憶がない人がいるんだよ。ちなみに、地獄にこれるのは、なぜか七歳から十八歳まで。そういう若い人しかこないんだけど、記憶のない人は稀にいる。記憶がないのにここに来るっていうのは、生き返りたい理由がないのに等しいから、天国に送っちゃうんだよ。正確には勝手に送られるんだけど」
記憶がない・・・。おそらく事故などで頭をやられてしまった人などだろう。
「天国に行くと、そこにも神様がいるんだけど、その神様が死人(ひと)を選別するんだ」
「選別?」
「そう、選別。天国は地獄から死人(ひと)を送ってもらう代わりに、その中から一部の死人(ひと)を働き手として、地獄に返すんだよ。ちなみに死人(ひと)を天国に送るのは、天国の仕事が新しい魂を作ることだから。魂の素材は魂でしか代えられないからね」
「じゃあ、唯とかもそういう存在なの?」
神様はこくりとうなずいた。
「そうだよ。でも『死神』になった人には記憶が無い。名前も忘れているから、名前は僕が決めてる」
「全員?」
「もちろん」
死神も結構な数はいるはずだが・・・、全員の名前をつけるとは、なかなかすごい。
「死神になる死人(ひと)には共通点がある。それは全員がすでに『力』が覚醒していること・・・、それと」
神様がそこまで話したところで、足音が近づいてきた。
「あっ、戻ってきたみたい。このことは秘密にしておいてね」
照火は反射的にうなづく。
「ふわぁ・・・すっかり道にまよ・・・、すっかり遅くなっちゃいましたー」
唯はそういいながらパタパタと走ってきた。後ろには二人、死神がいる。
「こんにちわ。照火さん。私の名前は、暁 真波(あかつき まな)。よろしくね。ちなみに、私の『力』は『時空操作』。時間と空間を自由に操れる『力』だよ」
こっちの死神は明るそうなイメージ。それに対してもう一人、男の死神は・・・。
「・・・・・・・・・こんにちわ。僕の名前は雀鵺摩 塑羅(からやま そら)。・・・『力』は『強制転移』」
とても暗そうな感じ。
「今から何をするの?」
「ん」
神様はにこっと笑いこういった。
「君と、君の友達を現世へ生き返らすんだよ」