小説『死神のシンフォニー【完結】』
作者:迷音ユウ(華雪‡マナのつぶやきごと)

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「死神は、君と同じ存在なんだよ」

神様はゆっくりとそう言った。

「えっ?どういうこと?」

「僕たち、死神って呼ばれている存在は、今の君と同じ死人なんだ」

「っ!?」

「ここまで話したから言うけど、ここから先はほとんどの死神も知らないはなしだから」

照火はごくりと息を飲む。

「まぁ僕は例外として、ここ、地獄に来る死人(ひと)の中でたまに生きていたときの記憶がない人がいるんだよ。ちなみに、地獄にこれるのは、なぜか七歳から十八歳まで。そういう若い人しかこないんだけど、記憶のない人は稀にいる。記憶がないのにここに来るっていうのは、生き返りたい理由がないのに等しいから、天国に送っちゃうんだよ。正確には勝手に送られるんだけど」

記憶がない・・・。おそらく事故などで頭をやられてしまった人などだろう。

「天国に行くと、そこにも神様がいるんだけど、その神様が死人(ひと)を選別するんだ」

「選別?」

「そう、選別。天国は地獄から死人(ひと)を送ってもらう代わりに、その中から一部の死人(ひと)を働き手として、地獄に返すんだよ。ちなみに死人(ひと)を天国に送るのは、天国の仕事が新しい魂を作ることだから。魂の素材は魂でしか代えられないからね」

「じゃあ、唯とかもそういう存在なの?」

神様はこくりとうなずいた。

「そうだよ。でも『死神』になった人には記憶が無い。名前も忘れているから、名前は僕が決めてる」

「全員?」

「もちろん」

死神も結構な数はいるはずだが・・・、全員の名前をつけるとは、なかなかすごい。

「死神になる死人(ひと)には共通点がある。それは全員がすでに『力』が覚醒していること・・・、それと」

神様がそこまで話したところで、足音が近づいてきた。

「あっ、戻ってきたみたい。このことは秘密にしておいてね」

照火は反射的にうなづく。

「ふわぁ・・・すっかり道にまよ・・・、すっかり遅くなっちゃいましたー」

唯はそういいながらパタパタと走ってきた。後ろには二人、死神がいる。

「こんにちわ。照火さん。私の名前は、暁 真波(あかつき まな)。よろしくね。ちなみに、私の『力』は『時空操作』。時間と空間を自由に操れる『力』だよ」

こっちの死神は明るそうなイメージ。それに対してもう一人、男の死神は・・・。

「・・・・・・・・・こんにちわ。僕の名前は雀鵺摩 塑羅(からやま そら)。・・・『力』は『強制転移』」

とても暗そうな感じ。

「今から何をするの?」

「ん」

神様はにこっと笑いこういった。

「君と、君の友達を現世へ生き返らすんだよ」

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