小説『死神のシンフォニー【完結】』
作者:迷音ユウ(華雪‡マナのつぶやきごと)

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ドアが開いた場所はちょうど二十二階のようだった。正面の壁に「22」のプレートが嵌めこまれている。

「えーっと……、3−Axってどこだろう」

エレベーターを出てすぐの教室のドアの上には3−Aaと書かれていた。3−Axはもう少し先だろう。

照火は廊下を歩いて思った。ここは学校というよりはマンションみたいだ。同じよう部屋が単調に続く。風景に変わりもない長い廊下。

照火はまもなく3−Axの教室に辿り着いた。

扉を開け、中へ入る。何の変哲もない普通の教室だった。机は二十程度、きれいに並べられている。ただ、人は一人もおらずがらんとしていた。

ドアのところで突っ立っているとスピーカーから声が聞こえてきた。

『ほら、そこのボサッとつっ立てる少年、早急に席に座りなさい♪ 一番奥の席だから早くしてー』

唯の声だった。

照火は指定された席にゆっくり座った。するとまたスピーカから声が聞こえてきた。

『ハーイ。それじゃあ全員そろったみたいなんで一次試験を始めますね。一ついっとくけど自分以外の人は姿は見えないし、もちろん声も聞こえません。それでは机の中に入ってる用紙とペンを取り出してください』

なるほど、それで誰もいないように見えたのか。照火はそう納得したところで机の中を手で探ってみた。そこには一枚の紙とシャープペンシル、そして消しゴムが入っていた。学校のテストじゃあるまいし筆記テストか……、となかばいやいやその紙を見てみる。そこには文字がびっしりと印刷されていた。どうやらアンケートのようだった。表の最後の質問の番号が二百五十。まさか裏はないだろうと思って裏を見たが裏にもびっしり。結局六百の質問があった。照火は一気にやる気をなくした。

やっとの思いで書き始めようとした時、またスピーカーが鳴った。

『あぁっと言い忘れてました。見ての通り一次試験はアンケート形式です。その質問のうち七十パーセント、ようするに四百二十問は全員共通の問題です。あとの三十パーセント、百八十問は個人個人違う問題です。後この試験に耐えられなくなったらこの部屋から出てください。担当の者がすぐにいきまーす。それじゃあ皆さん頑張ってね』

放送の声はそう言って途切れた。

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