(ぅ、ぉぉ…なんだ? 一体、何が起こったんだ…?)
確か、真ゲッター1の超合金の光に飲み込まれてから記憶が…おいおい、身体が浮いてるぞ?
無重力なんて初めて経験したぜ。
ていうか、俺目開いてるよな?
なのに真っ暗で何にも見えねぇぞ?
無重力空間って真っ暗なのか?
(どこだよここって…俺、言葉喋ってるよな? 何で自分の声が耳に入ってこないんだ?)
『待っていたぞ、黒崎 賢治』
(!?)
真っ暗な無重力の中、何か見えないかと目を凝らして辺りを見回している時に突然、頭の中に声が響いて聞こえてきた。
(おいおい、どうなってんだよ!? こんな感覚初めてだぞ!? くそっ、誰だ!? 何処のどいつだ!?)
直後、俺の周りから緑色の霧が発生し、俺の身体を包んできた。
(おいおいおいおいおい! なにがどうなってんだよ!? 今日は未体験のオンパレードじゃねぇか!?)
そしてその緑色の霧が俺を完全に包んだ時、突然頭に膨大な情報が流れ込んできた。
(うぉっ!? なっなんだこの記憶は―――――なっ!?)
その流れてくる情報の内容は、とある研究のデータとその過程と目的と結果。
そして…
(なっ…なんで、真ゲッターロボの情報が!? それに、ゲッター線の情報まで流れこんで来やがる! っ、まさか…この緑色の霧は!?)
『黒崎 賢治よ』
(!?)
俺がこの緑色に輝く霧の正体に思いついた時、光に飲まれる時に聞いた声が聞こえてきた。
すると目の前にユラユラと緑色に輝く霧に黒い影が現れた。
『お前には本来居る筈だった世界に戻り、その世界の災厄を滅ぼしてもらう。これはゲッター線が定めし事。否定することは出来ない』
(はあっ!? おい、ふざけてんじゃねぇ! 何そんな勝手なこと抜かしてやんだ! 元の世界ってなんだ!? 俺の今までの生活を否定する権利が誰にあるってんだ!?)
『…お前は本来、今までお前のいた世界で誕生することはなかった。しかし、お前が本来居るべき世界で生を受ける時に世界で災厄が生じ、お前の魂は今までいた世界に飛ばされたのだ』
そんな…じゃあ俺は、偽りの俺ってことなのか? 今までの生活も、友達も、家族も、全部…
「そんなことって…っ)
『…お前を探し当て、連れ戻そうとしても時が経ち過ぎていた…だから、お前の精神と体が出来上がるのを待っていた。そして、お前を元の世界に連れ戻す時を、ずっと待っていた…』
(…一つだけ聞かせろ、俺が居なくなることで、俺の家族や友達はどうなるんだ?)
そう、俺が気になってるのは俺がいなくなることにより、今まで一緒だった家族や友達に何らかの影響がないかどうかが心配だった。
『心配は無用だ。お前の分身をその世界に残してある。いくら元の世界に戻すとはいえ、お前をそのまま連れて行けば、その世界は崩壊してしまう。それを避けるが為にお前の分身を残してきた』
…そっか、俺の分身がいるっていうなら、大丈夫だよな…今まで、ありがとうな。
母ちゃん、お姉、そして…みんな…
『だが、お前をそのまま連れ戻したとしても、生活はできないだろう…。お詫びとして、戸籍云々を全てこちらで済ませておこう』
―――――ん?
(いやいやちょっと待て。ゲッター線って確か、未知なるエネルギーだよな? そんな都合のいいことまで出来るっけ??)
俺の頭に流れてきたゲッター線の情報には確か、ロボットを動かしたり、生命を進化させる為のまだまだ未知なるエネルギーと記されてるんだが…
『ふっ、そんなもの容易いことだ。それに、お前の生活を滅茶苦茶に崩してしまったんだ。それぐらいはさせてくれ。そして、これはお前の本来の持ち物だ』
ゲッター線が言っているのかは知らないが、声の主がそう言った後、緑色の霧が俺の身体に吸収されていくと同時に、身体の中に何かが構築されていくのを感じた。
(こ、これはいったい…?)
『お前がその世界に戻ればわかるだろう…では、そろそろ時間だ』
突如として、俺の後ろに光が輝きだしたのと同時に、また体が吸い込まれる感覚を感じた。
(な、またかっ!? うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?)
そして光は賢治を吸い込み、輝きを失った。
そして賢治がいた空間には、緑色に輝く霧のみが残されていた。