小説『Fate/Zero これは戦争ですか? いいえ観光です』
作者:銃剣()

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第十三話 誰かに成り切る事って案外難しい


「さて、全員知っていると思うが・・・明日はセイバー陣営と話し合いをする」


いつものように食卓で話し合う善明達
全員が真剣な顔をしながら話を聞く


「ハサンの文通のおかげで、あっちの警戒がゆるんだ。だが油断するなよ、まだこっちを信用したとは限らないんだぞ」


「善明の言うとおりだ。その事に関しては俺が一番経験している」


ディルムッドは腕を組みながら言う、だが手は怒りで震えていた
何度も言うがセイバーオルタ以外のサーヴァント全員は既に第四次聖杯戦争を経験している
特にディルムッドの最期は切嗣の策により令呪による強制自害を強いられ、どうしてこうなったか知らず怨嗟を叫びながら消滅した


「衛宮切嗣・・・確か魔術師殺しの異名を持つ暗殺者だったな。臓硯も話しをしていたしな」


「戦術に関しては銃器にナイフに爆発物っと、軍人が使うようなものばかりですね」


雁夜とハサンは切嗣の事に関する情報を話す
戦いの中で一番の武器とも言えるのが情報であり、これが有るか無いとで大きく状況が変わる
善明は席を立ち、全員を一度見て目を瞑る


「良いかお前ら。明日は戦いに行くと思えよ。気を抜けば死ぬ・・・それ位は覚悟しろよ」


「「『「「「「「おう(はい)!!」」」」」』」」


全員が声を揃えて返事をする
すると


「おじさん、皆で何処か行くの?」


「うん、皆で御出かけをするんだよ」


雁夜と桜も一緒に行く事になった
家に居る方が安全だが、万が一の事を考え一緒に同行する事を善明が決めた


「それじゃあ、皆で綺麗な格好しないとね!」


「綺麗な格好?」


この桜の提案がボケの列車を動かすきっかけになった
桜の言葉に善明が


「要するにコーディネートか。まぁいいんじゃないか」


「そうですね。いつも同じ格好って訳にもいきませんしね」


「確かにそうかもな。俺もずっとこの格好にも飽きたしな」


「余は、もう少し派手な格好がしたいな!」


「黙れ雑種、王である我以上の派手な格好は許さんぞ」


『私も鎧以外のが良いですね』


「私もそろそろローブ姿を何とかして欲しかった所ですよ」


「私もそろそろ新しい服が欲しいな」


サーヴァント全員も話し合いするなら、それなりの格好で行こうという事に決定した


「それじゃあ、今からエイダに頼んで英霊の座からお前らの家から服を転送するから。行けるなエイダ」


≪問題ありません≫


「それじゃあ明日までに決めとけよお前ら」










話し合い当日の夕方 ハサンの部屋

セイバー陣営との話し合いは夜に行われる
善明達は着ていく服を決めている時、ハサンはある事に悩んでいた


「この仮面をどうするか。私って仮面が無ければ取りえないような物だからな〜」


ハサンは仮面を付けていくかどうかという事に悩んでいた
前回仮面しか無いと善明に言われたばかりである


「仮面の上に丸メガネ付ければいいか」


「おいハサン。準備できたか?」


「あぁ善明さん。もう少し待っ」


ハサンの部屋に善明が入って来て、ハサンは振り返り善明を見る
善明の格好は長い黒髪のカツラを被り、ドミノマスクに紫の洋装でマントを着けている。そして右手にムチ、左手に荒縄を持っていた


「何ですかその格好!?それに手に持っている物は何だ!」


「ふははははははっ!!何を言っている家畜よ!あの雌○共への土産に決まっているだろ!!」


「誰が家畜だ!!それにそんな土産嬉しくねぇよ!!」


「あのセイバーは騎士王として激しく責め立てるSを装っているが、その都度Mの素質もある。あのムスっとする表情、悦いぞ悦いぞー」


「ダメだコイツ」


ハサンは今の善明の変貌に頭を抱える
そして無駄にハイテンションなのがさらに悩ませる


「そして私はS!!相性もバッチリだ」


「誰も聞いてねぇよ!それにアンタのワールドで語るな!」


「私のワールドではない。人は必ずSとMで分かれている!!」


善明はターンをしながら大きく宣言をする
そんな若干カオスに成りつつある空気の中


「お主ら何を騒いでいる?」


「イスカンダルさん丁度良かった。ちょっと善明さんを」


ハサンはイスカンダルの格好は見る
それは何処ぞの核兵器を破壊する伝説の男の格好だった
そして馬鹿デカイダンボールを持っていた


「アンタもか!!それにその格好は思いっきり不自然じゃねぇか!!」


「そうか?余は良いと思うんだが。それに怪しまれても、このダンボールさえあれば大丈夫だ!」


「いや無理でしょ!そんなデカイダンボールあったら逆に怪しまれますよ!」


ハサンはダンボールを指差しながらツッコム
ダンボールの大きさはタンスが入るぐらいの大きさだった


「どうした?何か起きたか」


『もう皆さん、準備出来ましたか』


そこにディルムッドとランスロットが来たが、もちろん格好も普通ではなかった
ディルムッドは特殊能力形態に再構成することができる特殊能力と融合した格好
ランスロットは悪行超人から新世代正義超人なった男のマスクに黒いスーツの格好である


「アンタ等もか!というより何!?このボケるハイスピードは!!」


「この格好でセイバーに唯一無二の力を見せてやる」


『このマスク付けると良いプロレス技決められそうなんで』


「見せなくていいし、決めなくていいですよそんなの!!」


ハサンは全員の格好を見て、さらにシャウトする


「つーか何ですかそれ!?コミケでも行く気か!!話し合う気ねぇだろ!!」


「別に話さないって訳じゃない。ただそれなりの安全策を考えていたら、この格好になったんだよ」


「なんで安全策考えて、鞭と荒縄がいるんですか!完全にズレてるでしょ!!」


「そんな事より、あの二人はどうした?」


『まだ準備してるんじゃないんですか?』


「よりにもよって面倒くさい二人が最後かよ」


ハサンは一番の問題児が最後という事に肩を落とす
そんな事を考えていたら黒い霧が部屋に立ち込めてきた


「ちょっとランスロットさん。この霧消して下さいよ」


『私じゃないですよ』


「・・・え?」


ハサンはランスロットを見る
ランスロットからは黒い霧が出ていなかった。出ているのは部屋の扉の隙間からだった
扉が徐々に開き、一人入ってきた。陣羽織にインナー、それから肩や腕や腰に防具や鎧を着て、.ブーツカバー・手袋・足袋を付けていた。そして左手に日本刀を持っていた


「家康ーーーーーーーーー家康、家康ーーーーーーーーーーーーッ!!!」


ギルガメッシュだった


「いやあんたかい!!なんでこんな面倒くさい人に面倒くさい奴チョイスしてるんですか!?」


「許さないッ!許さないッ!この世の全てを許しはしないッ!」


「そんな格好している人に言われたくないんですけど!!」


ギルガメッシュが若干暴走している為、修正がつかなくなっている
最後に残ったのはジル・ド・レイ


「あいつは、どんな格好してんだろうな」


「少なくとも善明さん達と同じだと思いますよ」


ハサンがそんな事を呟いていると、急いで走ってくる足音が聞こえた
恐らくジル・ド・レイだろう


「すいません皆さん。お待たせしました」


部屋に入ってきたジル・ド・レイの格好は○造○間サイ○シ○○カーだった


「あんたはもう人間のカテゴリーから抜けてるだろ!異端者からサイコ野郎に肩書き変わっただけじゃねぇか!!」


「失礼ですね!私はサイコ野郎という名ではありません!私はサイコシ「おりゃあ!」ぐぼぁ!!」


ジル・ド・レイが名前を言おうとした時、ハサンが顔面にドロップキックをする
その時に付けていたマスクが顔に埋まる


「つーかてめぇらいい加減にしろ!!話し合いに行くって言ってんだろ!!これじゃ、ある意味脅迫しに行くもんだろうが!!」


「そう怒んなよ。少し悪ふざけしただけだって、あんまり怒んなよ」


「だったら早く着替えて下さいよ!」


「分かったよ、全く・・・家〜畜共が、集まって〜♪」


「歌うなーーー!!!ある意味R18付ける気か!!」


その後、コスプレしたメンバーはハサンの部屋を出て行った
ツッコミ疲れでイスに座り休むことにした


「本当にあの人たちは話す合う気あるのかって」


「おい、どうした」


「あ、オルタさん。実は義明さん達が」


ハサンの部屋にオルタがやってきた
ハサンはオルタを見ると、格好が喪服に鬼のカチューシャを付けて、肩に金棒を担いでいた


「・・・・・・」


「どうかしたか?」


「・・・・・・・・もういいです」


ハサンが初めてツッコミを放棄した瞬間であった
そして結果的に話し合いは普段着で行くことになった

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