小説『Fate/Zero これは戦争ですか? いいえ観光です』
作者:銃剣()

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第九話 どこの戦いでも、爆破は起きる

前回のあらすじ
食材不足に悩んでいた善明達は、海岸で釣りをして食材確保をしていたら、セイバー達と遭遇してしまった


「(ちょっとぉぉぉ!何で、ここにセイバーさん達いるんですかぁ!?)」


「(俺が知る訳ない・・・っは!確かここってディルムッドとセイバーが戦ってたコンテナターミナル
じゃねぇか!というより何故俺達がここにいるのがバレた!?)」


善明達は声を出さず、心の中で喋っていた


「(おそらく俺が長靴しか釣れない事に怒り、いつの間にか威圧していたのだろう)」


「(お前どんだけ長靴と格闘してたんだよ!!ある意味すげぇな!)」


ディルムッドが何時間も長靴を釣り続けれいる事に善明がツッコム


「(と、とりあえず、この状況を何とかしてくださいよ!善明さん主人公なんですから、やれるでしょ!)」


「(バカ言ってんじゃねぇよ!こんな状況を何とかするなんて、主人公である俺でさえ無理だ!という事でディルムッド。お前が逝け)」


「(どうして俺が行くんだ!それに字が違うだろ!!明らかに俺に死んでこいと言っているだろ!!)」


ディルムッドは善明の言い方にツッコム
そして善明は他人に任せるだけを考えている
みんな・・・これが主人公なんだぜ


「(だったらイスカンダル!)」


「(少し腹の調子が・・・)」


「(じゃあギル!)」


「(今の格好で王の風格を出せん)」


「(ランスロットヘルプ!)」


「(すいません。あの戦い以来、王と接するのが気まずいので)」


「(てめぇらそれでも俺のサーヴァントか!主人を放っておいて良いのかよ!?つーか何?そのどうでもいい良い訳!お前ら本当は行きたくないだけだろ!!)」


他のサーヴァントが行くよう善明が言ったが、どうでもいい良い訳を言って行くのを避けていた
その事に善明は激怒する


「(喧嘩してる場合ですか!早くこの重い空気から抜け出したいですよ!)」


ハサンは喧嘩をする善明達を止める
早く逃げたい。逃げ出したい。そして夕食に在り付きたいと全員が思っていた


一人を除いて


「さぁ〜お前達、海に行ってらっしゃい。海には魚やプランクトンが居るかなね。たんと食べるんだよ」


ジルは善明達と少し離れている所で|螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)で召喚した深海の水魔を海に行かせていた。大きさは手の平サイズで何十匹か足元に居た。そしてその時のジルの顔が笑顔だった。善明はそれを見てジルの側により


「・・・・・・・・・・・ふんッ!!」


持っている教本を奪い、海に投げ捨てる


「ちょっと!何してるんですか!!あぁぁぁ私の宝具ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」


ジルは投げ捨てられた宝具を取りに、海に飛び込み泳いで行った


「これで邪魔者が居なくなった。うん」


「それじゃ釣りを続けましょう」


「そうだな」


その後、善明達は何事もなかったかのように釣りを続ける


「何をしているんですか貴方達は!!」


「アレ?まだ居たの?」


だがセイバーがそれを邪魔をする。善明達のスルースキルが効いていないのだろう
善明は顔をしかめながらセイバーに話す


「というより釣りの邪魔しないでくんない。俺達今から夕食釣りあげている所だから」


「貴方達は、今何をしているのか分かっているのですか!?聖杯戦争をしているのに呑気に釣りなんて・・・って聞いているのですか!?」


「あぁ〜聞いてる聞いてる」


善明は釣りをしながら、セイバーの話を聞く


「それに何故他のサーヴァント全員が居るのですか。本来サーヴァントは一人のマスターに一体のはず。貴方も聖杯戦争について聞いていると思いますが」


「あぁ〜聞いてる聞いてる」


「それに聖杯が行われているのに、何故こんな事をしているのですか」


「あぁ〜聞いてる聞いてる」


「・・・・・・・人の話を聞いてますか?」


「あぁ?要はアレだろ。洗剤の種類は多いから、使い分けが難しいって話だろ?」


「全然違います!!」


善明のボケにセイバーがツッコム
アイリスフィールはこのやり取りを見て苦笑いをしていた


「それより、釣りをすると言いましたが釣れてるのですか?」


セイバーが善明に釣りの状況を聞いてくる


「それが釣れないんだよ・・・・はぁ」 ぐぅ〜


「善明さん。空腹過ぎて辛いんですけど」 ぐぅ〜


「余もそろそろ限界だ」 ぐぅ〜


「俺もだ。早く長靴以外の物が釣りたい」 ぐぅ〜


『私も相当ヤバくなってきました』 ぐぅ〜


「我も腹が減って力が出ん」 ぐぅ〜


善明の腹の音が鳴るとサーヴァント達の腹が次々と鳴っていく
そして全員が疲れきっている顔をするが、ここで天使のささやきが聞こえた


「良かったら、家で食事していく?」


「「「「「『・・・・・・・・え?』」」」」」







善明達から少し離れている場所


「舞弥。相手の動きはあるか」


≪いいえ。特に目立った動きは≫


善明達の動きを離れている所からライフルのスコープを覗いているのは、セイバーのマスター衛宮切嗣
セイバー達が敵サーヴァントの所に行くと連絡を受け、狙撃位置に居た
切嗣と通信で話しているのは久宇 舞弥。彼女も別の狙撃位置で善明を狙っていた
切嗣は再びスコープを覗く。見えるのはアイリスフィールと何か話している様子があった


「(何か話しているようだが、これは明らかに不利な状況には変わりない。あのサーヴァント六体を使役しているのなら、戦うのは危険だ)」


切嗣は冷静に判断し、状況を整理していく


「・・・少し甘いものを取って、考えを練るか」


そう言って切嗣はポケットから板チョコを出すが


「しまった!!」

運悪く落としてしまった
だがこれが後の戦争の引き金となったのだと切嗣は知らない









「いいのかよ!本当に!」


場所は戻って海岸
釣りをしている善明達に夕食のお誘いがあった


「正気ですかアイリスフィール!!」


だがセイバーは反対する


「仮にも敵のサーヴァントです。何をしてくるか分かりません」


「でもセイバー。私から見えるんだけど、サーヴァントはともかくマスターの方は悪い人じゃなさそうよ」


「はい。見た目は悪人でも、心の中は善人です」


「いや、アンタ善人どころか心が全て暇人でしょ」


アイリスフィールがセイバーに善明達の事を良い、それにのっかる善明のボケ。そしてハサンのツッコミ
これが一連の流れというものだ


「だがこれで飯に在り付け・・・・・!?」


善明は何かに反応したのか、急に黙り込む
そしてサーヴァント達も黙る


「ちょっと、どうしたの?」


アイリスフィールが善明達を心配する
そして善明が口を開ける


「・・・・・アレ」


アイリスフィールとセイバーは、善明が指差す方を見る


「にゃあ?」


そこに居たのは一匹の猫
そして口に咥えていたのは、切嗣が落とした板チョコだった


「猫がチョコを咥える・・・つまり拾い物・・・拾い物はタダ・・・ようするに」










「俺達の食い物だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


善明は猫の方に爆走する
だが善明だけでなくハサン以外のサーヴァントも爆走する


「「「「『そのチョコ寄こせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』」」」」」


猫はびっくりして逃げ出す
だが善明達は追う。追い続ける
一番先頭は善明とギルガメッシュだった


「待てェェェ!ここらにある物は我も物だぁ!故にあのチョコは我の者だ!」


「ふざけんな!一人占めしようたってそうはいかねーぞ!あのチョコはみんなの物だ!いや!俺の物だ!」


善明とギルガメッシュが言い争っていると横から誰かが通り過ぎる


「ランサーのサーヴァントとして召喚された俺に、速さで負ける事はない」


ディルムッドは前に飛んで、猫を捕まえようとする


「(もらった!!)」


ディルムッドは勝ったと確信したと思ったが


ジャリッ


足に鎖が巻かれていて、動きを止められていた
動きを止めたのはギルガメッシュの|天の鎖(エルキドゥ)だった


「なっ!」


「ふん!」


ギルガメッシュは天の鎖を足に巻き付けたディルムッドを地面に叩きつける
その際ディルムッドは頭からぶつけ、タンコブが出来る


「ふははははは!槍兵如きが王を出し抜こうなど100年早いわァァァァ!!!」


ギルガメッシュは高笑いをし、猫を捕まえようとするが


「チョ〜コ〜は〜・・・俺のじゃあ!!」


「ぐおぉ!・・・・がぁは!」


後ろから善明に蹴り飛ばされ、倉庫の壁に激突する
そのまま壁から地面に滑り落ちる


「おっし、邪魔が居ない今なら・・・って猫逃げんな!」


ギルガメッシュを倒したが、猫に逃げられる
善明は急いで猫を追う














≪切嗣、どうします≫


「僕に聞かれても・・・」


切嗣は少し混乱しながら、スコープを覗いていた。突然マスターが猫に飛びかかると思っていたら、他のサーヴァントも飛びかかり、更には仲間割れもしていた
この光景に着いていけない切嗣だった


「だが、完全にターゲットが見失ったが・・・「にぁあ!!」ぐぉお!!」


切嗣の顔にさっき逃げてきた猫が飛びついてきた。切嗣は、顔にひっついている猫を取ろうとしたが、なかなか出来ない


「離れてくれ!何か爪が食い込んでるから!」


切嗣がもがいていると、善明がやってくる


「追いつたぞ猫!お前さっきから逃げてんじゃねぇ!」


善明は猫を取ろうとしだが、切嗣の髪を引っ張り、なかなか離れない
その後、イスカンダル、ランスロット、ディルムッド、ギルガメッシュの順にやって来て
猫を取ろうとする


「この野郎。大人しくこっちに来い!」


「この猫。なかなか離れんな」


「いだだだだだだ!髪が、髪が取れる!」


『ひっついている人の方はなんかヤバいですよ』


「確かにそうだな。涙目だ」


「構わん。その雑種の髪ごと取れば済む話だ」


それぞれ何か言うが、猫が切嗣の髪から離れない
そして切嗣は痛いのか、その場でじたばたしていた
すると


カチッ ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ 


「「「「「『・・・・・・・え?』」」」」」


その場に居た全員が音のする方を見る
そこにはなにか球体も物が音を鳴らしていた
それは切嗣が仕事用で持ってきた物


ピッピッピッピーーーーーーーーーーー!!!


そして球体が高い音を鳴らし、光り出す
全員は思った




((((((あ、やばい・・・・・・・))))))





ドオオオオオオオオオオオオオン!!!








翌日の新聞。その一面には次のような見出しが並んだ


コンテナターミナルで爆発 


ターミナル付近が半壊




間桐家の寝室


ずらりと並んだベットの上で善明達は包帯だらけになっていた


「ギャグ漫画で死人が出ないっていう業界ルールがあって助かったな」


ディルムッドが天井を見つめて言った


「まあ、二次小説だけどな。つーかぐだぐだなのにセリフ多いよな、この小説」


と話す善明


「早く読めるから、良いではないか」


とイスカンダルが酒を飲みながら言う


『あーあ、早く鎧修理しないと』


鎧がボロボロで至る所にヒビが入っているランスロットが呟く


「いや、今はそんな事どうでもいい」


軽く怒っているのはギルガメッシュである


「どうするんだ。この怪我では外出も出来んぞ」


「大丈夫だ。この小説は次の日になれば元通りになるから」


「だったら、私達がここまで運んだ苦労はどうなるんですか」


あの爆発の後、ハサンは妄想幻像を使って、全員を間桐家まで連れて帰った
セイバー達も切嗣を抱えて、帰った
間桐家に帰ってきて、雁夜は全員の姿を見て驚いていた。こうなった原因を言ったら


「なんでそうなるんだよ!しかもどんだけ食に飢えてたんだよ!」


とツッコミを入れた
その後全員を手当てしたら、ジルが帰ってきた。ずぶ濡れで
しかも寒さで震えていた


「あっちも大丈夫かな」


善明はある人物の事を考えていた















アインツベル城の寝室


「へっくしゅん!」


「大丈夫、切嗣」


「大丈夫だ、アイリ」


こちらも包帯だらけでベットに寝ている切嗣
その近くにはアイリスフィール、舞弥、セイバーが居た
あの爆発が起き、急いで向かってみれば、黒焦げになった二人のマスターと四人のサーバントが倒れていた。その倒れ方はヤ○チャっぽかったそうだ


「あの爆発でよく無事でしたねキリツグ」


「…生きてる事に不思議だよ」


「そういえば、今朝家の前でこんな物を貰ったわ」


アイリスフィールが切嗣にダンボールを渡す


「何だ?」


切嗣は疑問に思い、ダンボールを開ける
中身はお茶っ葉とみかんが入っていた


「昨日のアサシンがお詫びしてきてね。それを皆さんで頂いて下さいって。礼儀正しいサーヴァントが居るなんてすごいわね」



「なんでさ」


その後、切嗣達はお茶を飲んだ
相当美味かったらしい

-9-
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