小説『ソードアート・オンライン 第一章 〜アインクラッドと蒼騎真紅狼〜』
作者:大喰らいの牙()

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第十二話  真絶・二刀流


〜真紅狼side〜
俺とアスナを先頭に回廊を進んでいくが、『軍』の連中はまったくもって見つからなかった。


「なぁ、もう転移アイテムで帰ったんじゃないのか?」


クラインや俺たち全員が一つの予測を心の中で秘めながらもクラインはそれを打ち消す為の可能性を示唆した。
だが、その可能性はすぐに否定されることとなった。


『ああぁぁぁぁっ………!』


俺達はすぐさまその声の意味を理解し、アスナが一番に回廊を駆けた。


「バカッ!」
「ったく、どこまでも迷惑をかける連中だ!!」


アスナはシステムアシストを使って限界ギリギリまでのスピードで飛ばすが、俺は七夜の体術で迷宮にさりげなく配置されているオブジェクトを足場に、跳び続けながら移動する。
すると、ボス部屋が開かれており、中では戦闘が行われていた。
…………まともにHPバーが削れてねぇ。
こうなると、俺もマジでやらんと死ぬし、スキルを一つ明かすことになっちまうが背に腹は代えられないか。
俺達がもう少しで辿り着く瞬間、グリームアイズは咆哮を上げて『軍』の連中に襲い掛かる。
咆哮に竦んだ軍の人間は、防御を取れても威力を殺すことが出来ず、壁に叩きつけられるなどして、戦線が崩壊した。


「だめよ………そんなのダメ………」
「アスナ、落ち着け! 今お前が飛び出したら………」


アスナの様子がおかしいと感じた俺は腕を掴もうとするが、一瞬遅く、一気に加速してボス部屋に入ろうとした瞬間、グリームアイズの斬馬刀の一撃を貰って吹き飛んだ男がアスナの手前で落ち、自身のHPバーが一気に削られて無くなる。そして最後の一言は心に刺さるモノだった。


「―――――あり得ない」


その声の主は、さきほど出逢ったコーバッツだった。
そう言って、幾重にも聞いたポリゴン音を俺達の耳元に残しながらこの世を去った。
リーダーが居なくなった集団など、烏合の衆同然で有り、戦う事すら出来ない。グリームアイズは無慈悲にも自分の得物を残りのプレイヤーに振り下ろす瞬間、アスナはグリームアイズの背中目掛けて、ソードスキルを放っていた。
グリームアイズは、乱入者へに怒りの声を上げながら猛烈なスピードで斬馬刀を水平に振る。


「キャッ!」


アスナは自身の武器でなんとか弾くことが出来たが、技後硬直に襲われて動くことが出来なかった。
対してグリームアイズは、再度その凶刃を振るって再びアスナを襲った。


「ヤバい! 石剣よ!!」


俺は右手に石剣を持ち、左から来る凶刃に対し石剣を楯にするように構えアスナを弾き飛ばした。


ガァァァァァン……………!!


斬馬刀と石剣がぶつかり合い、強烈なエフェクト音が発生する。


ギャリギャリギャリッ…………


「ぐ…………おっ…………!」


ドゴォン!!


「がぁっ!!」


俺は耐えきれず石剣を持ったまま部屋の壁に叩き飛ばされた。
壁と激突して、一瞬だけ気を失うが素早く頭を振って意識を取り戻す。
そして、フラストレーションが溜まっていたのが爆発した。


「ヤギっぽい野郎が調子に乗ってんじゃねぇぞ、ゴラァ!!!!」


俺の怒号にグリームアイズはこちらを振り向いた。


「アスナ、クライン! 十秒だけでいいから時間を稼げ!!」
「「おう/わかったわ!!」」


俺はもう一本の石剣を投影した。


「“投影”(トレース)、“開始”(オン)!!」


俺が思い浮かべるのは今、手にしている石剣と同様のモノ!!


骨子を把握し―――
形状を想像し―――
材質を再現し―――
保有者の誇りと想いを込めて―――――――再びこの世に出現させる!!


英雄ヘラクレスが十二の試練の一つ、ヒュドラを屠った最高の剣技を俺独自でアレンジしたモノを、今ここで魅せてやろう!!
俺は二本の石剣を片手ずつに持ち、スキルを発動させた。


「………スイッチ!!」


その叫びと共にアスナは下がる。
そして俺は前に出て、右手でグリームアイズの斬馬刀を弾き飛ばした後、一瞬だけ構えた後、誰にも絶対真似できない連撃を放つ。


「“真絶”――――――――――――――――――必滅の射殺す百頭」


そこからは、俺がかつて二十五階層で出した音よりも遥かに超える大音量で放たれる連続十八連撃。
本来、両手で行う剣技を片手ずつでやるが故、これを使うと少なくても三日は腕が使い物にならなくなり、仕留めきれなければ死が待っているがコイツ相手には十分届く威力であり、何よりもこれ以上の犠牲者を出す事を避けたい為これでケリを付けなければならなかった。


「オォオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!」
「グ………ゴォアアアアアアァァァァァァァッッ!!!!」


耳を押さえたくなる様な大音量が、ボス部屋に響き渡るがそんな行動をしてる暇は無い、仕留めなければ死が待っている。
それに剣戟を受けてもなおグリームアイズは、反撃に出ようと体が揺れながらも右手が動いていたのが確認出来た。
HPバーが残り数ドットになった時に連続十八連撃は終わった。
アスナとクラインは、絶望の表情を浮かべていたが俺は浮かべずむしろ嗤う。


「「ガロンッ!!」」


嗤う理由にはワケがある。
それは…………


「まだ終わっちゃいないぜ、グリームアイズ!!!」


俺は二本の石剣の内、一本を奴の中心目掛けて投擲する。


ドスッ!


投擲の仰け反りが発生し、グリームアイズは一瞬だけ止まる。だが、俺には充分だった。一気に奴の頭上まで飛び上がり、残りの一本で縦に一刀両断した。


「終戟――――――――――天……………………獄!!」


ドスンッ!!


その一撃によりHPバーは完全に無くなり、二つに割れたグリームアイズはポリゴンの破片となる。
そして、消えると同時に俺は締め括る。


「――――――絶!!」


パシャン……………


俺は二本の石剣を手から離した後、地面に倒れた。
あ〜〜〜、くそ、両腕が痛ぇ。
〜真紅狼side out〜


〜アスナside〜
ガロンの指示のもと、クラインと共にグリームアイズを十秒ほど足止めすると、背後からガロンから「スイッチ!」という声が掛かり、私はその場から下がるとガロンは両手に見たことも無い剣を片手に一本ずつ持っていた。
クラインは「なんだぁ、ありゃあ!!?」と驚く。
そして、ガロンがグリームアイズの斬馬刀を弾き飛ばすと、小さくバックステップした後、呟いた。


『“真絶”――――――――――――――――――必滅の射殺す百頭』


ゴォォン!


たった一撃だけなのに、耳を塞がなければならないほどの剣戟音。それが繰り返されるように十八回放たれた。
私達は、耳を塞ぎながらもグリームアイズのHPバーを見る。
索敵スキルで強化された私の目ですら映らないほどの剣の速さ、そしてそれに比例していくようにバーがグングンと減っていく。
………しかし、その連撃も残り僅かで終わってしまい、私達は絶望に追いやられたが、ガロンの表情は嗤っていた。


『まだ終わっちゃいないぜ、グリームアイズ!!!』


彼はそう吠えると持っていたうちの一本をグリームアイズの中心目掛けて投擲し、刺さる。
その瞬間、僅かであるが仰け反りが発生していた。
ガロンはそれを逃すことなく、頭上まで飛び上がるとグリームアイズを斬馬刀諸共縦に叩き斬った。


『終戟――――――――――天……………………獄!!』


縦に真っ二つに割られたグリームアイズは、咆哮すらせずにポリゴン体になり、弾けると共に最後の一言をガロンは同時に言い放った。


『――――――絶!!』


完全に消え去り、暗くなっていたボス部屋も明るくなった。
一息付けるかと思ったが、ガロンは武器を離して突然倒れてしまった。


「ガロン?!」
「おい、大丈夫かよ!!」
「ガロンっ! 目を覚まして!!」
「うっせぇな!! 休ませr…………いだだだだっっ!!」


ガロンは腕を押さえようとしていたが、それすら出来ないらしく涙目となっていた。


「死んで………ないの………?」
「誰が死ぬか。短期間にこう同じ技を再び使うハメになるとは思わなかったんだよ。あー、ちくしょう、痛ぇ」
「今、見た所、コーバッツとあと二人やられてた………死んだら、どうにもならないじゃねぇかよ!」
「死人が出るのは、六十七階層以来ね、ボス部屋では………」


それ以降は、犠牲者を出さずになんとか一階層ずつクリアしていった。
それでもギリギリの戦いを強いられていたのもまた事実である。


「それはそうと、なんだよ! アレは?!」
「あ゛ー、アレね。エクストラスキルって言えば分かるか?」


ガロンは、躊躇いがちに答える。
………何かを隠していたのはこれが理由なのね。でも………なんだろう、まだ隠している様な気がする。
そう、もっと重要な何かを………。
私は思案顔になるが、スキルの事を聞いた。


「剣を二本持ってたけど………?」
「エクストラスキル“真絶・二刀流”」
「「真絶?」」
「ああ、そう言うらしい」
「………もうひとついいかしら?」
「なんだ?」
「あの剣技はなんなの?」


二年近くこの世界に居るが見たことも無い様なソードスキルだった。
両手用大剣であんなソードスキルは見たことない。


「アレはちょっとした特殊な剣技だ。俺にしか扱えない」
「何故?」
「ちょうどいい、誰でもいいからそこの石剣を持ってみろ」


ガロンはなんとか手を動かして、石剣を誰か一人に持たせるように言った。
すると、クラインが石剣に手を伸ばし、持とうとするが………………


「アレ? ぬぅおおおおお〜〜〜っ!!」


声を絞り出しながら持ち上げようとするが、それですら一ミリも浮こうとしない。
そして、風林火山のメンバーが数人手伝いようやく浮くことが出来た。


「なん……だ…………コレ?! 重すぎるだろ!!」
「筋力パラメータを全振りしないと持てないからな。その上、あの剣技を放つ為にはそれを完全に振り回す技量もいる。………それが理由だ」


納得のいくような答えだが何か引っかかるわね。
でも………そんなことより、ガロンが居なくなってしまうのではないかと思った時は、とても怖かった。
この世界で数少ない異性の友人なんて限られているのに、その中でも私の思い出の大半を占めている者が死んでしまうのは辛い。
そんな気持ちになった瞬間、私は無意識のうちにガロンを抱き締めていた。


「………アスナさんよ、大衆の前でそれはマズイんじゃねぇの?」
「………うるさい………! 死んじゃったと………思ったんだから………!!」


ガロンは「すいませんね」と軽い口調で言うので、強く抱きしめた。


「しっかし、エクストラスキルかぁ。情報屋のリストの載っていないとなると、お前専用の<ユニークスキル>ってことになるな。出現条件とかは分かってんのかよ?」
「分かってたりゃ、情報を流し取るわ。……と言って、情報屋のリストに載っていないスキルが発現した。なんて大手で叫んだら、ネットゲーマーには恨み、嫉みを買うのも必須。だから黙ってたんだよ」
「だよなぁ。俺は人間が出来てるけど………、ネットゲーマー達は無理があるか。それにしても………」


クラインはこちらを見てから、ガロンの肩を叩いた。


「頑張りたまえよ、青年」
「やかましい」
「俺達は、七十五階層の転移門をアクティベートしてくるが、お前等はどうする?」
「あー、俺達はもうしばらくここに居るわ」
「はいよ。それと軍のお前等は、ここで何が合ったかを上の連中に伝えろ」
「はい。………………あの……有難うございました」
「それなら、あそこのヤツに礼を言うんだな」


クライン達は階段を上がっていき、残った軍の人達は、ボス部屋を出てすぐに転移結晶を跳んでいった。
私達だけが、ボス部屋に残った。
そして、私は意を決して思った事をガロンに伝えることにした。


「………私、しばらくギルドを休むわ」
「何故に?」
「………貴方と組むって言った事を忘れたの?」
「ギルドの連中が怒るぞ?」
「………帰ったら説得する」
「しょうがねぇなぁ。取り敢えず、明日、エギルの店で待ってるから。説得終わったらそこに来い」
「……………うん」


私達は立ち上がり、ボス部屋を後にした。
〜アスナside out〜




次の日




〜真紅狼side〜
ホームに戻った俺は、新聞にて昨日の出来事が事細かく書かれており、俺が居る八十八階層以外は、他プレイヤー共が血眼になって探しているらしい。


「………で、結局団長は、ボス相手にやってしまった。と? 団長は、アレか? バカなのか?」
「その団長相手に、労いの言葉どころか、貶すしてくるとはウチの副長は外道だな」
「「「「「「「超外道のアンタ/団長には言われたくない」」」」」」」


おおぅ、見事なる四面楚歌。
その後、フィンとライカが何かを確認するかのように訊ねてきた。


「そんで、団長は閃光とどこまで行きました?」
「………そのことを聞くってことは、また賭けやってんだろ?」
「ピンポーン! 団長、よく分かったね〜。ちなみに賭け内容は、結婚話まで持ちこんだか、持ちこめていないかのどっちかだよ! あたしとフィン、シオリは持ちこんだ方に賭けた。あとのメンバーは持ちこんでないの方。………で、持ち込んだの?」


コイツ等………ここで答えたらネタ提供になりそうだな。
だが、俺は答えるぜ!


「持ち込んでいないぞ」
「「「ま、負けた〜〜〜!!!」」」
「ちょっと! 団長の腕前なら、一人や二人引き込めるんだから、持ち込んでよ!!」
「無茶苦茶言うなや、ライカ。そんなことしたら、アスナは確実にレイピアを抜くぞ?」
「それはまた………過激だね」
「あの女は躊躇い無くやるぞ。この前なんか、食事の時にちょっとした発言で手に持っていたナイフにレイピアの通常技を放ってきたからな」


っと、こんな話をしている暇はなかった。
行きたくないけど、<アルゲード>に行かなければ。


「そんじゃ、またちょっと逢ってくるから………」
『はーい!!』
「団長! 今度こそ持ち込んでくださいね! 私達の賭け勝利の為に!!」
「お前のせいで、気分が台無しだよ。それとライカ、お前はもう賭け事やるな。見たところ、お前は賭けごとで失敗するタイプだ。間違いなく」


俺はそう一方的に言い放ち、ライカの反応が帰ってくる前にホームを出る。
そして転移門に向かい、未だに激痛が治まらない両腕をなんとか動かし転移結晶を掴んで叫ぶ。


「転移、<アルゲード>!!」


転移し終わった瞬間、一気に脚力を高めて跳び上がる。
なにせ、先程の新聞の一面に転移門で見張ってる連中が写っていたのを目にしているからだ。
俺は屋根伝いでエギルの店まで向かい、二階の窓が開いていたのでそこから中に入った。


「おっす、エギル」
「うおわっ!? ど、どこから入ってきた?!」
「二階の窓から。いやぁ、面倒事に巻き込まれる前にこの店に入っておきたかったから、二階から侵入させてもらったぞ」
「いっそ、巻き込まれろよ。………というか、今度からはちゃんと玄関から入ってくれ」
「なら、この新聞を発行した連中に文句を言え。コイツ等が余計な事を書かなければ、事もここまで大きくはならなかっただろうよ」
「そうは言っても、新しく発現したスキルが【真絶・二刀流】。しかもエクストラスキルでお前だけのユニークスキルとなると、話題が集まってしまうのは必然じゃないか?」
「こっちはいい迷惑だ。いらない恨みを買って散々だぜ」
「それこそ、星の数ほど恨みを買ってるお前が言っても今更無駄なことだな。で、ウチに来たのは、避難所として駆けこんだのか?」
「やかましい! いやいや、アスナと待ち合わせ中」


お互いの心情を言い合いながら、俺は椅子に座り、エギルはカウンターで肘を突く。
すると、外の通りから走り抜ける音が聞こえてくるので、アスナが来たかなと思い、声を掛けようとするとそれよりも大きな声でアスナが叫んだ。


「よぉ、アスナ、どうd………「大変なことになっちゃったよ! ガロン!!」………なぁ、エギル」
「なんだ?」
「どうして俺は、こうもトラブルが絶えないんだろうな?」
「多分、お前はそういう星の元に生まれて来ちまったんだろうよ。諦めろ」
「諦められたら苦労はしない………ッッ!!orz」
「人生、山あり谷ありだ」
「俺の場合は山も谷もねぇよ!! 常に断崖絶壁だよ!! なんだコレ? 理不尽にも程があるだろ!?」


ちょっとさー、あのジイサン、俺に変な運命押しつけていないだろうな?
もうちょっとゆっくりできると思ってた矢先、コレとか酷くね?


「で、何がどうなったんだ?」
「う、うん。昨日ことを団長に話した後、一時脱退させてくれって頼みこんだら………『ガロン君をここに連れてきたまえ』って話の流れになっちゃって、それで………」


アスナの声は最後には聞きとれないほど、小さくなっていた。
ああ、なるほど、それでお流れになったと。
………多分、俺に押し付けられている変な運命ってのは“トラブルホイホイ”だな。完璧にそうだ。


「なら、行きましょうかね。ギルド本部に」
「………行くのね? このまま、逃げてもいいのよ?」
「ヒースクリフの言葉の中には、はかとなく喧嘩を売られている気がするんだよ。売られた喧嘩は買う事を信条にしてるから、俺は逃げねえ」
「なら、私が案内するわ。ついて来て」


そう言って、アスナは扉を開ける。
俺もその後に着いていき、五十五階層<グランザム>に跳び、【血盟騎士団】の団長室に着いた俺は、開口一番にこう言い放った。


「なんとなく喧嘩を売られて気がしたので、高価買取にきました」
「いきなりの開口一番がそれとは………。君とは十階層以来は会ってない………かな?」
「いや、六十七階層でボス攻略時に会ってるぜ」


ヒースクリフは、あの時の戦いを思い浮かべるように両手を合わせる。


「あの階層の戦いは辛い戦いだった。我々と君がいなければ危うく、戦死者がでるところだったな。―――――それなのに、君は我がギルドの貴重な主要プレイヤーを引き抜こうとしている」
「ハッ! 貴重なら、人選の方を考えろ。プライドだけ一丁前で、腕もねぇプレイヤーを護衛に務まらせるなよ」
「クラディールの件は失礼した。現在、彼は自宅で謹慎中だ。だが、我々も簡単に引き下がるわけにはいかないのだよ―――――」


ヒースクリフは、穏やかだった口調が急に厳しい口調となり、次の一言で完全にやる気となった。


「ガロン君、欲しいのであれば剣で奪いたまえ。剣を取って、剣の勝負にて決着を付けようではないか」
「ああ、いいね、その目。その勝負乗った! ………が、あと二日ほど待ってくれるか?」
「何故かね?」
「技の反動で、両腕のダメージが抜けてなくてな、アンタもやるなら万全の方がいいだろう?」
「………いいだろう。では、その二日後に決闘だ」


その言葉の後、俺達はヒースクリフの元を後にした。
そして廊下にて、俺は何故か正座させられてアスナに怒られている。


「もぉ〜!! なんで勝手に喋っちゃうのよ!! 私が、なんとか事を収めようとしたのに〜!!」
「スマン、つい調子に乗った」


腰に手を当てて、仁王立ちしているアスナは口をぷく〜と膨らませている。
……………アレ?! なんかおかしくね!?
当然のように怒られてる俺もおかしいけど、この流れはおかしくないか?!


「貴方がボスをユニークスキルを持ってボスを一人で倒してしまうのは凄いけど……………団長はその上を行くんだよ?」


その上ね………。
まぁ、この戦いは前哨戦だ。と言っても前哨戦でも勝ちには行くし、奴の太刀筋や癖を見破る為でもある。何より決闘で手を抜くほど、甘くない。
最初からトップギアで挑まないと一瞬で潰される。
だが、七夜の体術はあまり使わない方がいいな。
モンスター相手やレッド連中には絶大な威力を誇るが、奴相手には致命傷に等しい。精々、移動系と奇襲技だけにしておこう。


「まぁ、口から出てしまったモノを今更取り消したら、逃げたと思われるのだけは嫌だし。あとは流れに任せるさ」
「流れって………、本気でやらなければ負けるわよ?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。良くても八卦、悪くも八卦だ」


アスナは呆れていた。
俺は取り敢えず、ホームことに戻る事にする。


「取り敢えず、俺はねぐらに戻るわ。腕を休めないと」
「分かったわ。二日後、ここ、<グランザム>に来て。待ってるから」
「はいよ」


俺とアスナは転移門まで一緒に行き、アスナから先に跳び、その後、俺もホームに戻った。
〜真紅狼side out〜


さて……………………やりますかね。




―――あとがき―――
“真絶・二刀流”のスキルにて、発動する剣技です。
原作では、キリトが二刀流を発動して、<スターバースト・ストリーム>でグリームアイズを倒しますが、真紅狼は宝具があり、そしてそれに加えてボスを倒すまでの威力を誇る連続技となると、“射殺す百頭”(ナイン・ライブス)を採用しました。

それを“真絶・二刀流”で活用し、石剣をもう一振り用意して、九連撃×2。つまり、十八連撃としました。
最後の追撃は、オリジナル派生技です。

他の二刀流でも出せますが、出せる武器は限定されます。
槍、こん棒と言った刃が少ない、もしくは無いモノには出せません。

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