『氏島静利』
氏島静利(しじましずり)の朝は早い。
ベッドから抜け出して部屋を出た後、台所に向かう。
家族は、いない。両親共、数年前に事故で他界している。
適当に朝食を作り、テーブルについて食べ始める。
テレビでは朝のニュース番組流れている。ボンヤリとそれを眺めながら食べる。
食べ終えたら、皿を流しで洗い、布巾で拭いたら食器棚に戻す。
少しゆっくりした後、制服に着替えて家を出る。
「おはよう。静利君」
家を出てすぐに声をかけられる。
「ああ。おはよう、京」
彼女の名前は花井京(はないきょう)。静利とは幼なじみだ。
毎朝、一緒に登校している。
たわいもない話をしながら、ゆっくりと歩く。始業時間まではまだ十分な時間があった。
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「よう、氏島。花井ちゃんもおはよう」
教室に入った静利と京に声をかけたのは三木だった。
「今日も朝から仲が良いなぁ」
三木が茶化すように言う。いつも通りだ。適当にあしらって自分の席につく。
何もかも、いつも通り。
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終業のチャイムがなる。
京は部活に行った。静利は帰宅部だ。真っ直ぐ家に帰る。
何の変哲もない帰り道。やがて家に着き、鍵を開けて中に入る。
こうして、僕の氏島静利としての一日は終わる。