第15話
「・・・zzzz・・・ぐぎゃっ!」
寝ていると頭に強い衝撃が走る。
何時もの広辞苑であろう事は簡単に予想がついた。
・・・いつもなら避けれんのに、徹夜したからなのか?
「どうしたん?何時もなら避ける筈やろ?」
「八神か・・・昨日徹夜したんだよ。・・・つか寝不足とさっきので頭が痛ぇ。」
ライナはよく徹夜してたけど、俺は殆どした事無いから。
「徹夜って・・・珍しい事もあるんやな。何で?」
「神喰い(ゴッドイーター)してたから。」
うん・・・嘘は言って無い。・・・リアルなだけ。
「ってそれゲームやないか!」
「・・・まぁそれは置いといて、何の用?まさか休み時間に用も無く叩き起こした訳じゃないんだろ?」
何の用も無いのにたたき起こしたとしたら・・・泣くぞ?
「あ、そうやった。転校生と友達になったから、紹介しようとしたんよ。」
そう言って、後ろの大人しそうな女の子を前に出す。
「佐藤舞って言います。宜しくお願いします。」
そう言う彼女の目は黒く、髪は紫に染まっている。
その髪の色は「未来眼」の副作用でなる色その物だった。
そうだとすれば目は見えていない、それどころか耳も聞こえない筈。なのに彼女はこちらを向き、話も聞いている。ってことは、
「・・・こいつが爺さんの言ってた転生者か?・・・」
「えっ?」
「ん?あぁ何でもないよ。俺は西条 悠。宜しく。」
「あっ、はい!」
ってか「全結界」持ちなんだ。今まで大変だったんだろうな〜。
◆
その日の帰り。
「・・・俺について来て何がしたいんだ?」
そう言い後ろを見ると、そこにはさっきの・・・佐藤だっけ?がいた。
「・・・気付いてた?」
「ん?ま〜ねぇ。気配の消し方も荒かったし。」
「・・・・・」
「で?何の用?俺さっさと帰って寝たいんだけど?」
そう言うと佐藤は話し出す。
「貴方は転生者ですよね。」
「うん、そうだけど?」
「じゃあ私の能力も・・・」
「まぁ予想位はついてるけど?」
ま、眼で見ないと詳しくは分かんないけど。
「そうですか。「全結界」と「未来眼」、それとその代償の軽減と言っていました。」
まぁだいたい予想はついてたけど、あの爺さん、何やってんだよ。
「代償の方は?」
「眼が見えなくなる所までらしいです。」
へ〜、って事は「全結界」でカバー出来るな。
「んで?俺に何をしろと?」
そこだけが分からない。何故俺に能力まで話す?
そう思っていると彼女はこちらに頭を下げ、
「私に能力の使い方、戦い方の修行を付けて下さい!」
そう、頼み込んできた。
「・・・戦い方と能力の使い方?どんな能力かも知らないの?」
「はい。ルーレットで決まってしまって。」
・・・爺さん。面倒になったからってルーレットかよ。
「何で俺?ってか何で強くなりたいの?」
「貴方に言ったのは転生させてくれた神様が貴方を頼れと言っていたからです。」
・・・爺さん、適当な事を。
「強くなりたい理由は、私が見た悲しい未来を出来る限り変えたいと思ったからです。」
「・・・成程ね。分かったよ。鍛えてあげる。」
「あ、ありがとうござ「ただし!」・・・何ですか?」
「訓練は厳しくやるから覚悟する事。一年で格闘と魔法の基礎をたたき込むから。」
「勿論です!途中で諦めるなんて事は絶対にしません!」
「あ、後毎日は出来ないんで、毎日やる事のプログラムを明日までに作って渡すから。」
「はい、分かりました。先生。」
「・・・先生はパスで、違う呼び方して。」
「えっと、それじゃあ、西条さん。」
「んじゃ、また明日〜。」
えっと、とりあえずは格闘の基礎と能力の使い方か〜。
あれ(ジェルメ式)をちょっと変えれば良いか。
そんな事を考えながら、俺は家に帰って行った。