春休み放浪編
１０６話 巨大ネズミ軍団の掃討
私はいかにも仙人が住んでいそうな渓谷にいた。
崖の高さは軽く１００ｍはあり常人が決して登れるような高さではないが、
私のように鍛えた者は楽々である。
そんな崖から崖下に千に届きそうな数の
大きさ１ｍ以上のネズミの大群が行進している光景を
鍛え上げた目に見た私は
「数多すぎでしょ・・・」
思わず呟いた。
普通は真っ黒なでかいドブネズミの大群なんて
女の子が目にしたら悲鳴を上げて逃げ出すのだろうが
チェリッシュは慣れたのか黙々と銃を取り出して戦闘準備を始め
「さて、行きますか」
準備を済ませたら私は速攻で巨大ネズミの大群に突撃した。
ディオガラット
それがあのデカネズミの名前であり、
同時に今回私が怪物’(モンスター)ハンターとして
市民から受けた討伐依頼の標的ターゲットである。
このネズミはデカイだけではなくとてつもなく繁殖力が高く
１週間という短時間で百匹単位にまで増殖する特徴がある。
そして、増えたネズミの大群は町や村を襲い
そこにある食べ物を喰いに食い尽くしてしまうのだ。
その度に政府・警察・ハンターは徹底的な駆除を行うのだが
このネズミは満腹になった後は地中深くに隠れて眠りに入ってしまうので
それで毎回ごく僅かの討ち漏らしが出てしまうのだ。
しかも、その眠りはいつ覚めるのかは１ヶ月の個体があれば
１０年２０年も眠る個体がいる為ほぼランダムでいつどこで
このネズミが出現するかわからないのでいつも対応は
事件が起きてからで後手後手に回っており
そのためいろいろと厄介で嫌われている獣である。
「悪いけど、ここで消えてもらうよ・・・」
ズドンッ！
ギジャアアアアア！！！
そんなディオガラットの大群に私は横から念弾をぶち込み
その一撃で数十匹粉砕した。
「さてと、これでどうネズミ達はどういう反応をするか・・・」
そう呟きながら私は念弾を撃ち込んでいた。
ちなみに彼女はなぜ安全地帯からの狙撃で殲滅せずに
目の前に現れて自分の身を危険にさらす真似をしている理由は
依頼人から「近隣の町や村にできるだけ入れないようにして下さい」
と言われたからディオガラット達を怒らせて
自分に意識を向けさせることで
この近くにある町や村への被害を最小限にするためである。
ヂュヴヴヴヴヴヴヴヴーッ！！！
そして、ディオガラット達は意図通り私に怒りの目を向け襲いかかって来た。
「よっし、これでなんとかなるかも・・・」
私はのんきそう呟いて突っ込んできたネズミ共に
「喰らえ！！ガトリングショーット！！」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガッ！！
散弾となった念弾の嵐をディオガラットの大群に喰らわせた。
「これは楽に殲滅できていいね
こういう所だけはクランクさんに感謝しないと」
波皇がなぜガトリングの如く念弾を出せるのかは
今、私が言ったようにクランクさんが波皇を修理をしてくれた際に
そう改造してくれたからである。
「普通の単発と散弾とで切り替えができるから
便利便利、これで戦術の幅が広がって
これならフランクリンのような敵と戦いやすくなったよ」
私はそう独り言を言いながら
少しクランクさんに感謝しながら
淡々とディオガラット達を粉砕していった。
「うわぁ・・・・よくこんなに倒せたね・・・・」
「こ、これほどの数は見たことがない・・・・」
「すげぇとしか言いようがないな・・・・」
私にディオガラットの討伐依頼を出した人達は
ディオガラットの躯の山を目にしてずいぶんと驚いていた。
（まあ驚くわな・・・・・
ああ、大変だった
ようやく殲滅したと思ったら
仲間を呼んだのか銃声につられて来たのか知らないけど
また、ゾロゾロと現れたもんだから
掃討が大変だった・・・・）
私は驚愕している皆を見て疲れ果てた顔をしながら
そんなことを考えていた。
「えー、数えてみたら全部で３１３４匹ですので
報酬は３１３４万ジェニーです・・・・」
「どーも！」
私は嬉々しながら報酬を受け取った。
「３千以上もよく討伐できたな・・・」
「マジでスゲェな・・・・プロハンターは・・・」
周りの人達からぼそぼそ話を聞きながら
そして、この場から去ろうとすると
隣村の人達が現れて
「お、お願いです！！
ディオガラットを討伐して下さい！！」
どうやら私はもうしばらく
面倒なことをしないといけないらしい。
（とっとと終わらせよ・・・・）
私はため息をつきながら追加の仕事に取り掛かることにした。