春休み放浪編
１１７話 念×経緯
「フィナンシェ、ここで待ち伏せていればいいんだね？」
「うん、監獄からの逃亡ルートを考えると・・・・
この辺りを通りかかるはずだよ」
私達５人は街から少し離れた岩石地帯に来ていた。
（まだ裏試験を終えていないキースさんとクリネアさんは
力不足で足手まといになりそうなのでカールさんの店に置いてきた）
「脱獄した念能力者の囚人は４人
それぞれ２０人以上もの一般市民を殺害している大量殺人犯で
いずれも天空闘技場で洗礼を受けて精孔が開いて
念を身に付けた典型的なタイプね」
今レイラさんが典型的なタイプだと話していたが
念を身に付ける際の経緯はいくつかパターンがある。
まずは原作のゴン達のようにハンター試験を合格した後の裏試験で
ゆっくりと長い時間をかけて修行をして身に付けることで
これはプロハンターの人は大半が該当するらしい。
次にこれから戦う囚人達のように天空闘技場で大怪我の洗礼を受けたり
念能力者の戦いに巻き込まれたりのパターンで
特に前者での経緯で精孔が開いた者はかなり多いらしい。
また、これで念能力者になった人は
大抵は四大行の基礎すら身に付けていなかったり
知識がないため独学で自分の得意系統から外れた修行をして
中途半端で自分に合わない能力を持っている場合が多い。
前者は天空闘技場のカストロやギド等のことで
後者は原作でゴンとキルアがグリードアイランドで
遭遇し軽く撃退されたアマチュアのモタリケ等のことををいう。
後は死にかけたりしたり特殊な生活環境で偶然精孔を開いて
念を身に付けるというパターンがあるが、
これは稀でかなり少ないらしい。
まあその分かなりの才を持つ者が多くヒソカ等が当てはまるらしい。
「どうやら来たみたいですね・・・・・」
全員、絶で待ち伏せを始めて３０分後
標的の４人が必死に走ってこっちに向かって来た。
「じゃあ、早速始めますか・・・・・」
私はそう言うと皆、無言で頷きあい配置に着いた。
「ハァハァ・・・・絶対に逃げ切ってやるぜ」
「ああ、とりあえずほとぼりが冷めるまで大人しくしていようぜ」
「俺もブタ箱にぶち込んだ賞金首ブラックリストハンターの連中に
借りを返していないからなぁ」
「いつかあいつ等ぶっ殺してやるぜ！」
彼等は息を切らして走りながらそんなことを言っていた。
今、彼等の力の根源は怒り・復讐心で動いているようなものだが
「グレイブッ！」
ズゴォ！
「ウベェッ！！」
「「「なっ！！！」」」
所詮はアマチュアである。
「な、何だ！いきなり地面から岩の拳が出て来たぞ！！」
「念に決まってんだろ！！
ボサッとするな！プロハンターの襲撃だ！！」
「この野郎っ！！返り討ちにしぶはぁっ！！」
「て、てめえ！ぐはぁ！！」
１人はレイラさんの風の衝撃波をもろに喰らい瞬殺され
１人は背後からカールさんの包丁を刃が付いていない方で
叩き込まれて意識を飛ばされた。
「ち、ちくしょう！
あいつ等をあっという間に・・・・・」
「もう、あなただけですね」
「な、なめんじゃねぇ！このガキがぁ！！
フライナックルッ！！」
男は最後っ屁のつもりか拳からオーラを飛ばし
チェリッシュを潰そうとしたが
「強化系のあなたが出した放出系の技なんて
お姉ちゃんに通用するわけないじゃん」
今、フィナンシェは言ったように
同時に発射されたチェリッシュの念弾によって
あっさりとフライナックルは弾かれ
「ぐああああっ！！」
男はそのチェリッシュの念弾をまともに受け
苦痛を上げなら吹っ飛ばされ地面に叩きつけられて気絶した。
まあこういう感じで彼等は初めから勝ち目はなかった。
短気で自分が楽することしか考えていない上に
念の知識は全くなく手探りで中途半端な力を身に付けた彼等では
常に修行をして己を高めているプロのチェリッシュ達に
勝てる道理は全くないのである。
とにかく彼等はこうしてあっさりと捕まり
監獄に逆戻りすることになる。
「ふう、すぐに終わって良かったですね」
「ああ、楽勝だったな」
こうしてチェリッシュ達はそう言いながら
彼等を縛り上げ警察に引き渡し仕事は終わった。
そして、余談だがこんな目に会ったせいか元脱獄囚の４人共、
もう脱獄なんて気を起さなくなり、大人しく監獄ライフを送ることにしたそうである