小説『GUNHUNTERGIRL』
作者:sola(gunhuntergirl)

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夏休み放浪編
141話 幼い念能力者の襲撃



「え、いないんですか?」

「ええ、彼は今、ここには住んでいないよ」

ラペ共和国に到着した私達は早速
両親の元同僚の所に行き暑中見舞いを届けに向かったが
その本人はもういないと道を聞こうと尋ねた
近所のおばさんがそう言ったので少々、項垂れてしまった。

「いや〜すまないねえ
ドンコイさんは引っ越しちゃったよ
確か別名“娯楽島”って呼ばれているピアチェーレ島ってとこだったかな」

「・・・・・そうですか
教えてくれてありがとうございます」

「お嬢ちゃん達も最近、物騒だから気を付けなよ」





おばさんとそう言い別れた後、
私達は適当な喫茶店で休みながら今後の事を話し合うことにした。

「で、その娯楽島はここからそんなに遠くないけど
そのまま行くの?」

「うん、まあそこも他の暑中見舞いの目的地同様に
私は行ったことがないからフリーダム・ゲートじゃ行けないため
少々、面倒臭いけど時間かけて行くことになるね」

世界地図を眺めながら問いかけてきたフィナンシェに
私は苦笑しながら答えた。

「ピアチェーレ島ですかぁ
世界有数の観光地ですねえ
あたしは一度行ってみたかったですよぉ」

クリネアさんは楽しみだなぁと顔に書いているような表情で呟いた。

「でも、世界中のマフィアとかの荒くれ者が集まる島だから
それなりに一般人にとっては危険な所だよ」

「もうすぐ8月の今の時期はたくさんいるだろうね
まあ逆に8月の終わり頃はヨークシンのオークション目当てで
少なくなるらしいけどね」

私とフィナンシェがその説明を聞くと
クリネアさんは「うわぁ・・・」と僅かに顔を歪ませた。

「さてと、休憩はこれ位にしてそろそろ行くとしますか」

「うん、そうだね」

「あ、はい!」

私はカランとコップの中のオレンジジュースを飲み干し
お金を払い、店を後にした。





ドカッ!

「うわっとと、危ないな〜」

喫茶店を出てから私達はしばらく歩いていると
いきなりおそらくこの近くのスラム街の孤児のうす汚い格好の少女が
金属バットを振り回して襲いかかって来た。

「はあはあ、このっ!」

少女は相当疲労しているそうでフラフラだった。
それで私は適当にお金か食料をやるかしようかなぁ〜と
金属バットの攻撃を軽〜く避けながら考えていると、
少女は私達の予想外なことをしてきた。

「・・・・仕方ない
これは疲れるんだけどね」

少女は金属バットを振り回すのは止め
目を閉じ両腕をダランとさせ

「・・・・ねえアレ纏じゃないの」

「・・・・雑だけど確かに纏だね」

少女はオーラの垂れ流しを抑えて
体に留めたのだ。
そして、さっきよりも速く鋭い動きで
私に襲いかかって来た。

「ハアアアアッ!!」

「・・・・ちょっと、ゴメンね」

ゴスッ! ドサッ!

「あぐっ!」

それでまあとりあえず私は少女を気絶させることにした。

「どうする?この子」

「いやどうするって言われても・・・・」

「未熟とはいえ念を使えるんだから
放って置くわけにはいかないでしょ」

「だよねえ・・・・」

私はそう呟き難しい顔をしているフィナンシェと
慌て気味のクリネアさんを視界の隅で見ながら
目の前の気絶している少女を凝視した。


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