小説『GUNHUNTERGIRL』
作者:sola(gunhuntergirl)

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夏休み放浪編
152話 リベンジャー






偶然、ハロルドさん達に会った私達は
ハロルドさん達もあの危険なドラッグによる
凶悪事件を追っていることがわかったので
彼等と一緒に食事をしながら情報交換することにした。

「まっさか、お前等もここに来ていて同じ事件(ヤマ)を追っていたとはな」

「それでハロルドさんの方はどこまで調査は進んでいるんですか?」

「・・・・正直言ってそんなに進展はねえな
片っ端から中毒者や薬の売人を潰して回ってんだが
数が多いわ、服用した奴1人1人が常人ではどうこう出来ないほど強いわでなぁ」

「おまけに捕まえた奴全員尋問しても薬の製造源がわからなくて」

どうやら私達と同じようにあまり行き詰っているようで
頭を悩ましているようである。

「私達の方もあの薬を製造したのは念能力者だということ位以外は
ハロルドさん達とほとんど同じですよ」

「そうか・・・・・おそらく相当一筋縄ではいかない組織だろうな」

「うん、それなりの金がないとこんなことはできないだろうし
バックにかなりの権力者がいる可能性もあるね」

フィナンシェは推測の域の推理を話し
皆、それで頭をコクリと縦に振っていた。

(・・・・・それにしても)

私はこれまでに捕らえた薬の服用者達のことが頭に浮かんだ。

「お姉ちゃん、どうしたの?」

「ん、ちょっと、あの薬を私達のような念能力者が服用したら
ヤバイことになるだろうなぁと思ってしまってね」

私はつい頭に浮かんだことを口にすると
ハロルドさんは少し唸りながら口を開いた。

「俺も同じ考えだな
常人でも超人の域にまで身体能力を上げてしまう代物なんだ
もし超人の念能力者が服用したらとんでもな・・・・」

ゾクッ!
ガタタッ!

ハロルドさんがとんでもないことになると言おうとすると
この場にいた私達全員、殺気を感じ取り
即席を立ち戦闘態勢を取った。

そして、その瞬間

ガッシャァァン!

外から2本の光の念の鞭のようなものが
喫茶店のガラスを薙ぎ払って破壊し
私めがけて飛んできたので
私は即座に後退し回避した。

(この攻撃、この能力は・・・・・)

私は見たことがある技にまさかと思いながら
今の攻撃で滅茶苦茶になった店から外に出た。
するとそこには

「よお、久しぶりだなぁ嬢ちゃん!!
数年前に俺をブタ箱にぶち込んだお礼や借りを返しに来たぜぇ!!」

「チェリッシュ、知ってる奴か?」

「ええ、昔、倒した犯罪者ですよ」

復讐者(リベンジャー)と化した
昔、私がコンゴ山で叩きのめした念能力者の犯罪者のレイバーが
真っ黒な笑みを浮かべながら堂々とそこにいた。(29・30話参照)

「・・・・・脱獄したんですね」

「ああ、お前等が狩ろうとしているあいつのおかげでな!」

どうやら彼は今回の事件の首謀者の手によって
脱獄しシャバに出たらしい。
それを知った私は少し歯ぎしりをして銃をレイバーに向け
そして、フィナンシェとクリネアさんはまさかと呟いて

「もしかして、4月頃に起きた念能力者の監獄からの脱獄事件って・・・・・」

たまたま事件発生時に近くにいた私達が対処した事件のことを口にした。
それで私もまさかと思いレイバーの返答を待った。

「ああ、その通りさ!
少々気に食わねえが、あいつはなんでも少しでも多くの戦力が欲しいらしくてな!
いや正確には実験台(モルモット)かな
まああの件はてめえ等に台無しにされたがなぁ」

そして、レイバーの答えは想像通りで
それを知った途端、この場にいた者の何人かが
鋭く刺すような殺気を込めた視線をレイバーに叩きつけた。
しかし、彼はなんともないような表情で
鼻歌を歌いながらポケットに手を突っ込み
ビー玉程の大きさの黒い球を出した。

「そ、それは・・・・」

「ああ、その通り狂薬“剛丸”だ!
今から俺は生まれ変わるぜぇ!!」

「や、止めて!!」

私は服用を止めるよう制止を叫んだが
レイバーは無視し薬をゴクリと飲んでしまった。
そして、レイバーは

「ウオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

剛丸を飲んだ途端、体中に血管を浮き上がり皮膚は真っ赤に染まり
白目を剥いて大きく叫び
叫ぶのを止めてしばらくするとそこには

「ふぅ〜、生まれ変わった
いや、神になった気分だ・・・・・」

鬼神の如く修羅の如く
瞳を血のように真っ赤に染まり
さらに邪悪な力が加わり大きくオーラは跳ね上がり
悪魔のような存在と変貌したレイバーという男がそこにいた。



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