小説『GUNHUNTERGIRL』
作者:sola(gunhuntergirl)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第287期ハンター試験編
186話 最終試験3



試合開始から数時間経ち
この大広間の中央の白い床は血しぶきで
染まって固まっていた。

そして、その血を流しているゴンは体の至る所に傷があり
ボロボロで床に横たわっていた。

「起きな」

ハンゾーの命令に、ゴンはもううめき声しか上げられなくて
ぐったりとしていた。

「いい加減にしやがれ!ぶっ殺すぞテメェ!!
俺が代わりに相手してやるぜ!!!」

ついに我慢の頂点を達したレオリオは
額に青筋浮かべて怒鳴り声を上げた。

「・・・・・・・見るに耐えないなら消えろよ
これからもっと酷くなるぜ」

「駄目だよ
レオリオ、落ち着いて」

ハンゾーの忠告を聞いて
さらに青筋を増やしたレオリオは体を前に出そうとしたので
私は止めることにした。

「何すんだチェリッシュ!!!」

「ここで手を出したらゴンとレオリオは失格になるし
まだ、ゴンは諦めていないよ
だから、大人しく試合を見届けて
クラピカもお願いだから下がってて」

私はそう言い2人を止めていると
ゴンはゆっくりと立ち上がった。

「大丈夫・・・・・・こん・・・なの、全然平気さ」

全く意思に揺らぎがないので
ハンゾーは再びゴンを叩きのめし
また寝かせて仰向けに強引に左腕を掴んだ。

「腕を折る」

ハンゾーはそう言ったがゴンは何も言わない。

「本気だぜ、言っちまえ!!」

「い、嫌だ!!!」

ボキッィ!

そして、骨が折れる鈍く嫌な音がこの大広間に響いた。

「これで左腕は使い物にならねえ」

この状況を見たクラピカとレオリオは
もうさすがに我慢の限界だった。

「もう止めるなチェリッシュ、クラピカ
あの野郎がこれ以上何かしやがったらゴンにゃ
悪いが抑えきれねえ」

「止める?大丈夫だ
少なくとも、私が止めることはない」

「お願い堪えて2人共」

私は再び必死に2人を止めていると
ハンゾーは右手を付き、逆立ちをして自分の事を語り始めた。

「痛みでそれどころじゃないだろうが聞きな。
俺は忍とよばれる隠密集団の末裔だ
忍法という特殊技術を身につけるため、
生まれた時から様々な厳しい訓練を課せられてきた
以来18年休むことなく肉体を鍛え技を磨いてきた」

親指が離れ

「お前くらいの年には人も殺している」

小指、薬指、中指が次々と離れ、

「こと格闘に関して今のお前が俺に勝つ術はねえ!!」

人差し指のみで体を自重を支える。

「悪い事は言わねぇ 素直に負けを認めな」

ドゴンッ!「あ」ベチャ!


ゴンがハンゾーに不意打ちの蹴りを喰らわせた。

「って〜くそ!!
痛みと長いおしゃべりで頭は少し回復してきたぞ!!」

前から思ってたけどゴンって本当にタフだね。

「よっしゃぁぁゴン!行け!!蹴りまくれ!!
殺せ!!殺すのだ――!!!」

「それじゃ負けだよレオリオ・・・」

「さて少し空気が変わりましたね」

ゴンは痛みの涙を流して立ち上がった。

「この対決はどっちが強いかじゃない。
最後に「まいった」って言うか言わないかだもんね」

ハンゾーと軽く跳ねて起きるが、
鼻血と涙で全然格好は付かない。

「わざと蹴られてやった訳だが」

「嘘つけ―――!!」

うん、レオリオに同感だね。
他の人達も内心で同じ思考いやツッコミをしていたと思う。
というかなんとなくハモった心の声が聞こえた気がしたし

「俺は忠告してんじゃない。命令してるんだぜ。
俺の命令は分かりにくかったか?もう少し分かりやすく
言ってやろう」

ハンゾーは左手の包帯から仕込刀を取り出した。

「脚を切り落とす
2度とつかないように
取り返しのつかない傷口を見ればお前もわかるだろう
がその前に最後の頼みだ
「まいった」と言ってくれ」

殺気を込めてハンゾーは頼んだ
がゴンは緊張の糸を切る答えを言った。

「それは困る!!
脚を切られちゃうのは嫌だ!!
でも降参するのも嫌だ!!
だからもっと別のやり方で戦おう!!!」

・・・・・・・なんという我儘な

試合を見ていた他の人達は静かに笑ったり
目を丸くしていた。

「勝手に進行すんじゃねーよ!なめてんのか!!
その脚マジでたたっ切るぜコラ!!!」

「それでも俺は「まいった」とは言わない!
そしたら血がいっぱい出て俺は死んじゃうよ」

自分が死ぬというのを軽く言わないでよ。
まあその通りなんだけどさ。

「その場合失格するのはあっちの方だよね?」

「あ、はい!」

ゴンはマスタに確認を入れて返答をもらう。

「ほらね、それじゃお互い困るでしょ
だから考えようよ」

ハンゾーはとても苦々しい顔で歯軋りした。

「なんつ〜わがままな・・・・」

「もう大丈夫だ
ハンゾーも我々も巻き込んでしまってる」

だが、ハンゾーがゴンの額に刃を突きつけたので
またこの場の空気は張り詰めた。

「やっぱりお前はなんにもわかっちゃいねぇ
死んだら次もクソもねーんだぜ!!
仮に俺はここでお前を死なしちまっても来年また
チャレンジすればいいだけの話だ!!
俺とお前は対等じゃねーんだ!!!
何故だ・・・たった一言だぞ・・・・?
それで来年また挑戦すればいいじゃねーか!?
命よりも意地が大切だってのか!!
そんなことでくたばってお前は満足か!?」

「親父はハンターをしてる
今はすごく遠い処にいるけど、いつか会えると信じてる
でも、もし俺がここで諦めたら、一生会えない気がする
だから、引かない」

それから2人はしばらく固まったが
ハンゾーはゴンの目を見て

「まいった
俺の負けだ」

手から出した刃を戻し負けの宣言をした。

「俺にはお前は殺せねぇ
かといってお前に「まいった」と言わせる術も
思い浮かばねえ
俺は負け上がりで次にかける」

「そんなのダメだよずるい!!
ちゃんと2人でどうやって勝負するか決めようよ!!!」

その後、ゴンは「あほかぁぁ!!!」とハンゾーからアッパーを喰らい気絶し
医務室に直行して長い第一試合はゴンの勝ちで終わり
ゴンはハンター試験合格1番乗りとなったのだった。



-191-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




HUNTER×HUNTER 32 (ジャンプコミックス)
新品 \420
中古 \47
(参考価格:\420)