小説『GUNHUNTERGIRL』
作者:sola(gunhuntergirl)

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第287期ハンター試験編
188話  最終試験5




「や」

青年は無表情なまま、気安い声で簡単に挨拶する。

「キルアの兄貴・・・・!?」

レオリオが思わず静かに驚きの声を上げ、
その横でクラピカも驚いて軽く目を見開いている。

そして、この場と周囲の重い空気を気にすることなく
イルミはキルアに話しかけた。

「母さんと次男(ミルキ)を刺したんだって?」

「まぁね」

大量の汗を出しつつキルアは肯定した。

「母さん泣いてたよ」

「そりゃそうだろうな、
息子にそんなひでー目にあわされちゃ
やっぱとんでもねーガキだぜ」

レオリオが極々普通の反応の言葉を口にした。
うん、確かにそれは普通の反応だよ。
でも、

「感激してた『あのコが立派に成長してくれててうれしい』ってさ」

ゾルディック家は色々と非常識でぶっ飛んでるんだよね。
私はひっくり返ったレオリオを片目で見ながらそう思った。

「『でもやっぱり、まだ外に出すのは心配だから』って、
それとなく様子を見てくるように頼まれたんだけど、奇遇だね
まさかキルがハンターになりたいと思ってたなんてね
実はオレも次の仕事の関係上資格をとりたくてさ」

「別になりたかった訳じゃないよ
ただなんとなく受けてみただけさ」

キルアは汗だらけの顔で焦りつつ言った。

「・・・そうか、安心したよ
心おきなく忠告できる」

イルミの威圧とこの場の空気の重みがさらに増した。

「お前はハンターに向かないよ
お前の天職は殺し屋だから」

さらに淡々と無表情にイルミは言葉を続ける。

「お前は熱をもたない闇人形だ
自身は何も欲しがらず、何も望まない
陰を糧に動くお前が唯一歓びを抱くのは、人の死に触れたとき」

どんどんキルアの顔色は悪くなっていくが
それでもイルミは言葉を続ける。

「お前は親父とオレにそう育てられた
そんなお前が何を求めてハンターになると?」

「確かに・・・ハンターにはなりたいと思ってる訳じゃない
だけど、オレにだって欲しいものくらいある」

「ないね」

キルアの答えにイルミは断言するように一蹴する。

「ある!今望んでることだってある!」

「ふーん。言ってごらん、何が望みか?」

「・・・・・・・」

キルアは兄に否定されて言い返そうとしたが
言い返せないので無言になってしまった。

「どうした?本当は望みなんてないんだろ?」

「違う!」

「ゴンと…ゴンと友達になりたい
もう人殺しなんてうんざりだ
普通に、友達なって、普通に遊びたい」

キルアはゆっくりと自分の望みを口にした。
ゴンと友達になりたいか・・・・

「無理だね、お前に友達なんて出来っこないよ
お前は人というものを殺せるか殺せないかでしか判断できない
そう教えこまれたからね
今のお前にはゴンがまぶしすぎて、
測り切れないでいるだけだ
友達になりたい訳じゃない」

「違う・・・・・」

2人はそんな会話をしていると

「先程も申し上げましたが、」

「ああ、わかってるよ、手は出さねェ」

レオリオが少し前に出て怒鳴った。

「ゴンと友達になりたいだと?寝ぼけんな!!
とっくにお前ら友達(ダチ)同士だろうがよ」

「!!!」

レオリオの言葉にキルアは目を見開いて
イルミはわずかに眉を動かして反応した。

「え?そうなの?」

「あたりめーだ、バーカ」

イルミはレオリオからの
キルアとゴンはもう友達だという肯定の言葉を聞いて
少し考え込みとんでもないことを平然と口にした。

「そうか、まいったな
そっちはもう友達のつもりなのか
よし、ゴンを殺そう」

「「「!!?」」」

のんびりとした態度やノリで言う言葉ではない。
この大広間の空気は殺気で歪んだ気がした。

「殺し屋に友達なんていらない邪魔なだけだから
彼はどこにいるの?」

「ちょ、待ってくださいまだ試験は」

トンッ

3本の針がキルアに背を向けて
部屋から出ようしたイルミを止めようとした
黒服試験官の立会人の頭に刺さり、
立会人の顔が変形する。

「どこ?」

「とナリの控え室ニ」

私はイルミを止めようと
クラピカとレオリオそしてハンゾーと黒服試験官達と一緒に扉の前に立ち
イルミを睨みつけた。

「イルミ・・・・この部屋から一歩でも出た瞬間
または私達に手を出した瞬間に失格にして
徹底的に叩き潰しますよ!!!」

「ふーん、チェリッシュ、オレと戦る気なの?
祖父ちゃんと親父を退ける事が出来たからって
調子に乗らない方が良いよ
あれは偶然で運が良かっただけなんだから」

「調子に乗らない方が良いですか・・・・
それはこちらの台詞ですよ!
いくらあなたでもここにいる試験官全員を相手にできると
思っているんですか!!」

私がそう言うとイルミはチラリと周りを見て
また考え込んだ。

「まいったなあ・・・・・
仕事の関係上、オレは資格が必要なんだけどな
ここで彼らを殺しちゃったらオレが落ちて、
自動的にキルが合格しちゃうね
あ、いけない。それはゴンを殺っても一緒か。
うーん・・・・」

イルミはマイペースな反応をしたが
私達はそれでも警戒を緩めず
戦闘態勢のまま奴を睨みつけた・

「そうだ!まず合格してからゴンを殺そう!」

いいことを思いついたと言わんばかりの言葉だが、
無表情な無感情な顔と声で言っても違和感しかない。

キルアはピクリと反応し息を飲んだ。

「それなら仮にここの全員を殺しても、
オレの合格が取り消されることはないよね」

「うむ、ルール上は問題ない」

イルミの問いにネテロ会長は平然と答える。

「聞いたかい、キル。オレと戦って勝たないと、
ゴンを助けられない
友達のためにオレと戦えるかい?できないね」

イルミは威圧をさらに込めてキルアに追い詰める

「なぜなら、お前は友達なんかより、
今この場でオレを倒せるか倒せないかの方が大事だから」

イルミは殺気をさらに発しこの場はかなり息苦しくなる。

「そしてもう、お前の中で答えは出ている『オレの力では兄貴を倒せない』」

ザッザっとイルミは歩いてキルアにゆっくりと距離を詰め
オーラを込めた左腕をキルアに向け

「動くな」

静かに殺気と威圧を込めて命令する。

「少しでも動いたら戦い開始の合図とみなす
同じく、お前とオレの体が触れた瞬間から、戦闘開始とする
止める方法は1つだけ
わかるな?」

キルアはガタガタと震え兄の存在とゴンを失うことに恐怖していた。

「だが・・・・忘れるな。お前がオレと戦わなければ、
大事なゴンが死ぬことになるよ」

「やっちまえ、キルア!!
どっちにしろお前もゴンも殺させはしねえ!!
そいつは何があってもオレ達が止める!!
お前のやりたい様にしろ!!」

レオリオはキルアのためにゴンのために
想って言ったが
追い詰められたキルアは

「まいった オレの・・・・・・・負けだよ」

イルミに屈して「まいった」と言い静かに敗北を宣言した。



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え〜、この前話したようにハ―メルンにマルチ投稿しました。
そして、ゾルディック編以降の話はハ―メルンに投稿することにします。

あと今後の更新速度ですが相変わらず1週間か2週間のペースになりそうで
(リアルが忙しいので)
すみませんが気長に待っていてください。

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