小説『GUNHUNTERGIRL』
作者:sola(gunhuntergirl)

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ヨークシンシティ編
27話 ヨークシンシティ4



9月3日

「つけられてるわね。」

「ええ、朝からずっとですね。」

私は今、師匠とレストランで昼食をしていたのだが、

朝、ヨークシンめぐりで外出してからずっと感じる殺気や敵意がある

視線や気配でのんびり食べることができなかった。

「うーん、私は心当たりがありませんね」

「私は心当たりありすぎてどこの誰だかわからないわさ。」

「いったい、師匠はどんだけ他人から恨まれてんですか・・・?
というか、敵の数がどんどん増えていますね。
ああ、なんかいやな予感がしますよ・・・」






サングラスをかけた坊主頭のリーダーの男と50人ほどの部下が

少し離れた所からチェリッシュとビスケを見ていた。

「あいつが木造蔵を持っているガキか?」

「はい、似顔絵にそっくりで間違いありませんよリーダー」

リーダーと呼ばれた男はニヤリと笑い部下達に命令した。

「よし、人気のない場所で2人共すぐに捕まえて
木造蔵のある場所を吐かせろ。
いいな。」

「はい、わかりました。リーダー
木造蔵を手に入れたら、あの2人はどうしますか?」

「お前らの好きにしろ」

部下達もニヤリと笑った。

だが後に彼らは後悔することになる。

彼らごときでは手を出すべきではない相手に手を出してしまったのだから





「とりあえず路地裏にでも誘い込んで全員叩きのめすわさ。
これ以上付き纏われるのはうざったいし」

「そうですね、とっとと片づけましょう。」

私と師匠はレストランから出て町のはずれの空き地へとやって来た。

そして、ぞろぞろと黒服を着たいかにもヤクザです的な人達がぞろぞろと現れた。

「よお嬢ちゃん達
俺達はブレディアファミリーのもんだが
昨日、お前らは値札競売市で木像を買ったはずだ。
それを俺達に譲ってくれねえか?」

サングラスをかけた坊主頭の男が前に出て私達に詰め寄って来た。

「木造蔵のことですか?」

「・・・知っていたか。
ああその木造蔵だよ。」

「そうね・・・
4億でいいならあんたらに渡すわさ。」

すると詰め寄って来た男は銃をガチリと師匠の頭に突きつけた。

「嬢ちゃん、勘違いしてねえか・・・
俺達は木造蔵をよこせと言ってるんだ。
売ってほしいなんて言っていねえんだよ」

「大人しく木造蔵を渡した方が身のためだぜ。
そうすれば少なくとも死なずに済むかもしれないぜ。」

「あんまり俺達を怒らせんじゃねえよ」

周りの部下達は笑いながら言った。

「てめえらいつまでダンマリしてんだ?ああ?
さてさっさと選びな木造蔵を大人しく渡すか。
それとも死んだ方がマシな拷問を受けるか。」

「実力行使にでるんならこっちもそれなりの対応をさせてもらうけど」

「はあ、結局こうなるんですか・・・」

「あ、てめえらふざけてんのか?
上等だ。やってみろよ!!」

ぐっと男が銃の引き金に掛ける指に力を入れた瞬間に私と師匠は動いた。

師匠は銃を向けていた男の銃を握っていた腕を捻って地面に叩きつけて

私は状況についていけてない部下達を頭や腹を殴ったり蹴ったりして気絶させた。





「まったくチェリッシュ、あんたのせいで厄介事に巻き込まれたわけだけど
何か言うことはあるかしら?」

「すいません、木造蔵を手に入れたことで
まさかこんなことになるとは全然予想していなくて・・・」

「まあ、いいわさ。
これくらいのトラブルはよくあることだし」

「がっ、て、てめえらいったい何者だ。」

師匠に銃を向けたリーダー格の男は絞り出すように話しかけた。

「プロハンターわさ」

「な!?プロハンターだと!
ちくしょう、よりにもよって
なんて俺達は運がないんだ・・・」

男はかすれた声で言った。

そんな会話をしていると仲間のブレディアファミリーが

またぞろぞろと現れた。

初めは戦うことになるかと思ったが

筋骨隆々な男が前に出てきて

「俺はブレディアファミリーのボスのカーネルだ。
部下達が無礼なことをしてすまない。」

頭を下げてきた。

「あんたは話がわかる奴のようだね。
あたしはあまり気にしてないわさ
ハンターにとってこんなのは日常茶飯事だしね」

「私もあまり気にしていませんよ。
それなりに修羅場くぐって慣れていますから」

「そうか・・・君達はプロハンターだったのか。
どうりで強いわけだよ。お詫びとして大したことはできないが
これは俺の連絡先だ。なにか困ったことがあったらここに連絡してくれ。
できる限り力を貸そう。
では俺はこれで」

そう言ってカーネルは倒れた部下達を連れて去って行った。




ホテルへの帰り道で私は師匠と今回の一件についての話をしていた。

「ちょっとトラブルがありましたけどマフィアとコネができましたから
今回は悪いことばかりじゃなかったかもしれませんね。」

「あんたねー
元はと言えばあんたのせいで今回のトラブルが起きて
私は巻き込まれたんだから少しは反省しなさいよ。」

「・・・はい、すいません」

その後、軽く師匠から説教を受けるはめになり

少し涙目になったチェリッシュだった。

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