小説『GUNHUNTERGIRL』
作者:sola(gunhuntergirl)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

29話 寄り道



「ここが金脈で有名なコンゴ山かー。」

私はコンゴ山にようこそという町の看板と門を見て呟いた。

師匠と別れて3日後、私は実家ではなくコンゴ山にいた。

フリーダム・ゲートですぐに実家に帰ることはできるのだが

別に急いで帰る必要はないので少しゆっくりと寄り道で

そこら辺を適当に観光でもしながら帰ることにした。

「さて観光名所をまわりますか。」

そう言って私は町に入った。







「んー、美味しい美味しい
来て良かったな―」

チェリッシュはホットドックを食べながら食道楽を楽しんでいた。

「それにしてもここは観光名所のはずなのに人が少ないなー
なんでだろ?」

チェリッシュはそのことに疑問を持っていると

町の奥から悲鳴や怒号が聞こえてきた。

「ん、なんだろ?
騒がしいわね。」

町に入ってしばらく歩くと広場に出て

そこにたくさんのこの町の住民らしき人達がなにやら騒いでいた。

とりあえず私は野次馬に混ざって話を聞いてみることにした。

「むごいな・・・」

「かわいそうに・・・」

そこには血まみれの死体があった。

「自分達の悪口を聞いたからってここまでやらなくても」

「ちくしょう、レイバー盗賊団
絶対にゆるさねえ・・・」

「復讐だ!
皆すぐに死んだ者達の敵を討つために
レイバー盗賊団のアジトに攻め込むぞ。」

そのまま一部の町民達が盗賊のアジトに向かおうとすると

「やめんか!!」

制止の声が響き渡り

威厳がありそうな老人が現れた。

「町長!」

「レイバー盗賊団のボスの強さをよくわかっておるじゃろう。
武装した警察が束でかかっても無理じゃたんじゃぞ。
あんな奴らにお前らで敵うわけがないじゃろ。
無駄死になるだけじゃ」

「じゃーどうするのですか?
このままじゃどんどんここに訪れる観光客は減って
この町は終わりですよ。」

「ハンターを雇うのじゃよ。
それしか手はない。」

「しかし奴らは銀行や役所とかも襲撃したせいでこの町には
金はあまりありませんよ。」

「金脈から掘り出した金もみんな奴らに強奪されたのですよ。
それで高額な報酬を用意できるんですか?」

「それについて手は考えておる。
ほら話の続きは会議でするぞ。」

そして、町長は町民達を連れて移動しようとすると

私は町長と目があった。

町長は私に近づいてきて話しかけてきた。

「お嬢ちゃんここに観光かね?」

「ええ、まあそんなところです。」

「その様子じゃと今の話を聞いていたようじゃな。
レイバー盗賊団に目を付けられる前にこの町から出なさい」

「ええ、そうします明日朝早くに・・・」

「ではお嬢ちゃん気を付けてな。」

そう言って町長と町民達は去って行った。






夜、宿屋でチェリッシュは寛ぎながら少し考え事をしていた。

(うーん、武装した警官達をあっという間にしかも素手で倒す・・・
十中八九盗賊団のボスのレイバーは念能力者ね。)

とりあえずその後これからどうするかを考えていると

「町の門にレイバー盗賊団が来たぞ―!!」

「まさか、向こうからやってくるとはね・・・」

私はすぐに宿屋から外に出て町の門に向かった。







「てめえ等が俺達の討伐依頼をハンターに出すために
町中の金をかき集めているのは分かっている。
その金を全部渡してもらおうか。」

門にはすでに町の人達の大半がいて

盗賊達は町長や門番達を痛めつけていた。

「ウグッ・・・ハアハア」

「町長!!」

「お前ら大丈夫か!!」

「ほらほら、大人しく渡したほうがいいぜ。
死にたくないだろ。昼間の馬鹿のようになー」

金髪で顔に入れ墨をした男レイバーは笑いながら言った。

「てめえー、もう我慢ならねえ」

何人かの若者の町民達が鉄パイプやナイフやフライパンを持ってレイバーに襲いかかるが

「ふん、雑魚がっ」

ヒュッ

バキャベキッ

「「「なっ!!」」」

レイバーは普通の人には見えない攻撃で彼らの武器を破壊した。

(なるほど・・・
オーラを鞭状に変えて攻撃する能力か。
シンプルだけどそれなりに攻撃力はありそうね)

私は凝でレイバーを観察して相手の能力の考察をした。

「どうやらまだてめえらは俺に逆らうつもりらしいな。
お前らあれを見な」

「あ、あれは!!」

「た、助けて・・・」

「グスグス・・・いやだ。死にたくないよう・・・」

「皆、ごめんなさい捕まってしまいました・・・」

そこにいたのは縄で縛られた町の娘達だった。

「お前らが俺に完全に逆らわないように
見せしめに1人殺しておくとするか・・・」

「お、お願いだ―、金は渡すからやめてくれえー」

町長は泣いてレイバーに頼んだが

「悪いなー、俺は何事も徹底的にやるタイプなんでな。
お前ら適当に女を1人殺せ」

「「「いやーーー!!」」」

「「「ああーーー!!」」」

彼女達と町民達は叫び、ある者は顔をそむけある者は自分が無力
であることを知り泣いた

が、いつまで経っても盗賊達や町民達の予想した展開にならなかった。

「・・・おい、小娘1人殺すのにいつまでかかってんだ。
お前らもなにボサッと突っ立ってるん・・・」

ドササッ

「な!!」

急にレイバー以外の盗賊は全員倒れてこの場は静まり返った。

そして、

「大丈夫ですか?」

人質になっていた町娘達のそばに1人の少女が現れた。


-31-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える