小説『GUNHUNTERGIRL』
作者:sola(gunhuntergirl)

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放浪編
38話 心源流



「セイッ」

「ハアッ」

「へえ、気合入っていますね〜。」

私はこっそり離れた所から心源流道場の正拳突きや組手の修行をしている
数百人もの門下生達を観察していた。

「でも念能力者は見当たらないな・・・
どこにいるのかな?」

「念は表に出せないからのう。
じゃからこことは別の秘密の修行場で修行させとるよ。」

いきなり横から声が聞こえて驚いて振り向くとそこにハンター協会会長がいた。

「ネ、ネテロ会長!!
なぜここに?」

「ワシは心源流の師範じゃぞ。
門下生達の様子を見に来たんじゃよ。
お主はなぜここに?」

「か、観光にこの国に来た際に心源流の道場がここにあることを思い出して
せっかくだから見て行こうと思いまして・・・」

「ふむ、丁度ええわい。ちょっとワシの用事に付き合ってくれんかのう?」

ネテロは意地悪な笑みを見せて言った。

「は、はあ。わかりました。」

「ではついてきなさい。」

私は渋々と従い会長のあとについていった。





「あ、あの〜ネテロ会長・・・
彼らはいったい?」

私はネテロ会長と一緒に道場の地下に来たのだが、

目の前に念能力者の門下生達が会長と一緒にいる私を

観察するような目つきでジ〜と見ていた。

「ワシ等師範が集めた実力や人格に問題ない優秀な門下生達じゃよ。
まあここにいる者はまだ裏試験を終えていないがの。」

そんなことを話していると門下生達の中から代表らしき青年が現れた。

「お久しぶりです。ネテロ会長
遠いところからはるばるご苦労様です。」

「うむ、修行は頑張っておるようじゃな。」

「ええ、皆毎日張り切って修行していますよ。」

そして、彼は私を見て

「そういえば、会長、
先程から気になっていたのですが、その娘は?」

「ああ、この娘はプロハンターじゃよ。
念能力者としてはじゃがお前らの先輩じゃな。」

「どうもチェリッシュといいます。」

とりあえず私は挨拶した。

「僕はロイズといいます。
よろしくお願いしますね。」

「じゃあお主らがどれだけ強くなったのか見るために稽古をつけて
1人1人全員に模擬戦をしてみるかのう。」

「え!!ネテロ師範とですか?」

「いんや。彼女とじゃよ。」

「はい・・・?」

会長は驚いた私を見て笑いながら言った。

「言っておくがこの娘は見た目に反して強いぞい。
中堅ハンター級以上はあるかのう。」

(会長、私を過大評価しないでほしいんですが!!)

私は心の中で会長にツッコミを入れた。

「ほう・・・ではチェリッシュさん若輩者ですが、よろしくお願いしますね。」

「え、ええ・・・」

(な、なんかまた面倒なことになってきましたね・・・)





「ではまずはお主からじゃリングに上がりなさい。」

ネテロ会長がそう言うと筋肉ムキムキの坊主男が現れた。

「では始め」

「ふんぬううううう」

開始直後に坊主男は練をして肉体を強化したが

(修行不足ですね。練に時間かかりすぎで
しかも時間かけた分無駄にオーラを消費していますね)

「はあああああ」

そして、私に正拳突きを放ってきたが

「ふんっ」

私はそれをあっさりとかわして硬をかけた右手で少し手加減して腹を殴り

「ぶほおおおお!!」

坊主男はそのまま吹っ飛び壁に叩きつけられ気絶して担架で運ばれていった。

「次の前へ」

そして、次の相手はガッチリとした体格をした黒人だった。

「始め」

「このスピードを見切れるかな?」

そう言って彼は両足にオーラを集中させてスピードで私を翻弄しようとしたが

「ふふふ、どうかな?私のスピードばああ!!」

速攻で見切って裏拳一発で沈めました。

そんな感じで私は門下生達をどんどん倒していった。




1時間後

(あ〜、体力はまだまだ余裕だけど精神的に疲れてきたな・・・)

「最後の者、前へ」

(あ、次で最後だ。ようやく終わりか。長かったわ。)

そして、やって来た門下生は

「そういえばあなたはまだでしたね。ロイズさん」

「ええ、お手柔らかにお願いしますねチェリッシュさん」

「始め」

「先手必勝!!拳砲!!」

彼はいきなり正拳突きをして飛ぶ拳撃の念弾を放ってきた。

「ほっと!!」

私はそれをとっさに体を捻ってかわした。

「へえ、良くかわしましたね。
ならこれはどうですか。
拳砲“連牙”」

ロイズはさっきの技を避けきれないほど連射して放ちチェリッシュがいた所に煙ができた。

ドドドドドドドドドドンッ

「はあ、はあ、どうですか?これだけやればいくらあなたでも・・・」

「私が何ですか?」

私は背後からロイズに話しかけた。

「な!!いつの間に後ろに?」

「あなたがあの技を連射した瞬間からですが。」

「な!!全く気付かなかった!!」

ロイズは眼を見開いて呟いた。

「それでまだやりますか?」

「・・・なんのまだまだですよ!!」

ロイズはまた拳砲を撃とうとしたが

「その技はまだまだ実戦不足ですが、鍛えればかなりのものになるでしょう。
ですから頑張ってくださいね。」

「あぐっ」

そう言って私はまたロイズの背後に回って首に手刀を喰らわせて気絶させた。







「今日は僕達の稽古に付き合ってくれてありがとうございました。」

「いえ、私もいい経験になりましたよ。皆さんも修行を頑張って下さいね。

「ええ、今度お会いしたときにはとてつもなく強くなり
あなたにリベンジする予定ですので覚悟しておいて下さいね。」

ロイズや門下生達は笑いながら言った。

「では私は行きますね。」

「お気を付けて〜」

こうして私は心源流道場をあとにした。




あと余談であるが今回の稽古で門下生達はプロハンターとはいえ子供の私に
簡単にやられたことに刺激されたせいかそれがきっかけで全員が
今まで以上に真剣に修行に取り組み急成長していき
それを知ったネテロ会長は計算通りと呟いて笑っていたそうである。


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