小説『国境の橋 』
作者:ドリーム(ドリーム王国)

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  橋の建築にあたって通訳や他にベトナム、ラオス側の橋の建築に関する専門家も必要であった。
 例えば建築材料のセメント、鋼材などを調達する人間、これから雇う作業員の管理責任者ベトナム、ラオス双方から五名ずつ計十名も加わった。
 面接には日本人は介入しない。それは両国の責任者達の仕事であり、後は言われた通り仕事をしてくれれば良い。
 ベトナム、ラオス側から各二十五名ずつ平等に募集しなければならない。双国の公平を保つ為のものだ。
 それ等はラオス政府責任者の青年が担当してなんとか人員と橋建設に使う重機や鋼材、木材、セメントが揃った所で初めての休みとなった。

 しかし休日といっても、どこに行けば良いのか祐輔は暇を持て余していた。
 そんな時、若い女性通訳のビオランが案内してくれると申し出てくれた。
 通訳をしている関係から彼女とは良く仕事上で会話をしていた。
まず海外に行くにはツアー旅行ならともかく、仕事となると現地の言葉を覚えなくてはならない。

 簡単な英語ならなんとかなるが、ラオスとなれば一長一短に覚えられるものではない。
 ラオスの主語はラーオ語でタイ語に類似している。
 それで最低限の挨拶程度の言葉は勉強して来た。
 まず現地の最初に覚えた言葉は(サバーイ・ディー こんにちは)(ラーコーン さよなら)(ンガーム きれい)
(フー 分かっている)(フガー 知らない)(ありがとう コップ・チャイ)(ごめんなさい コトー)など覚えた。

 ただひとつ面白く日本人に分かりやすい言葉がある。汚い醜いはキラーイだ。実にユニークで覚えやすい。
 勿論彼女との最初の会話はサバーイ・ディーから始まった。
 なんとも明るい子で通訳以外でも彼女の明るさと笑顔には日本人スタッフも癒された。
 背丈は大きくないが肌は浅黒くキュートな感じで特に眼が魅力的だ。
 ビオランだけは祐輔が橋の話をしても、嫌な顔どころか眼を輝かせて訊いてくれる。
 そんなビオランを祐輔は断る理由はどこにもない即座にOKした。そのビオランと一緒に行ったのはごく自然であった。
 祐輔だけが独身の特権だろうか? それと世帯持ちの連中は気を使ったのか? 二人で行けと言わんばかりに配慮してくれた。

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