小説『伝説の武器(笑)、創りますか?』
作者:ディアズ・R()

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第十八話





にゃん♪

「……………かはっ」

姉上が領地の事で忙しく城に行けないので、暇潰しで作った猫耳と何故か動く猫尻尾で擬似猫型獣人をやって庭で野良猫相手に遊んでいたら、姉上が血を吐いて倒れた。
近寄って顔を覗いてみると、とても良い笑顔で気絶していた。
やっぱり言い換える。
見ろよ、綺麗な顔だろ?死んでるんだぜ……

「死んでませんよ」

知ってるよメイドさん。
でも、言いたいじゃない。
そして、何時からいたんですか?

「お嬢様の後に来ました」

にゃるほど。
尻尾をユラユラしながら、姉上のほっぺをプニプニする。
何時もやられているのでやってみた。
姉上もまだまだ柔らかいね〜
流石15歳、母上とは違……いや、母上もスベスベかもしれない。
今度触ってみようかにゃ〜

「……」(尻尾……ですね。何で動いているのでしょう?……触ってもいいですよね?)

何故かメイドさんが、無言無表情で近寄ってくる。
え?怖いんですけど。
そして、尻尾を掴まれた。

「……ふぁ」
「ッ!?」

気持ち、いいです。
ハッ!?俺はいったい何を……
確か、尻尾を触られた瞬間、物凄く気持ち良くなって……メイドさんが尻尾から手を離したら、何か物足りない感じがする。
まさか、この尻尾……
よくよく尻尾を見てみる。

擬似獣人化セットの概念。
スキル【感覚共有】【感覚強化】【感情共有】
絶対概念【徐々に猫科】

【感覚共有】は、付加した物と感覚を共有する。
破壊されるととても痛い。
撫でられたりするととても気持ち良い。
【感情共有】は、付加した物と感情を共有する。
ただし、基本的に物に意思は無いので、使用者の感情次第で動くようになる。
【徐々に猫科】は、付け続けると猫の様になっていく。
初期段階は、「にゃ」が付き始める。
最終的には、行動が猫化する。

なんか、概念付いちゃってるし。
何があったの?
暇潰しで作っただけなんですけど?
創ってないよ?
まあ、いいか。
両手両足で歩いて、メイドさんの足元に擦り寄る俺。
あれ?

「ミ、ミーシャ、様?」

にゃにをやってるんじゃろ?
……コレはヤバイにょ。
芝生の上をゴロゴロする、俺。
もう、ダメにゃ……うにゃ〜ん。


・・・・・
・・・



視点・ミーシャを見守るメイドA

あれは、最早凶器ですね。
メイド長が、一歩も動けなくなるなんて……流石ミーシャ様ですね!
あ、ゴロゴロし始めましたよ。
可愛い〜
メイド長が、しゃがんでお腹を撫で始めましたね。
ミーシャ様とっても気持ち良さそう〜
あ、飛びついて……ミーシャ様が、メイド長の唇を舐めましたね。
メイド長が倒れた!?
顔真っ赤で、恥ずかしそうに蹲ってますね……メイド長、マジ乙女♪
あれ?ミーシャ様がいません?

「にゃ〜」

背後から、猫の鳴き声。
振り向いた先にいたのは……

「……え?」


・・・・・
・・・



視点・掃除中のメイドB

窓の磨きは完璧。
花瓶の位置にズレも無い。
花への水遣りもやった。
床と天井は他のメイドの仕事。
私の今日仕事はもう終わりね。
庭の手入れでもしてこようかしら?
ついでに換気をしようと窓を開けたら、ミーシャ様が飛び込んできた。
咄嗟に抱きとめると、猫の様にゴロゴロと喉を鳴らして頭を擦り付けてくる。
え?何のご褒美ですか?
というか、何で耳と尻尾が生えているんですか?

「にゃお〜」
「あの、ミーシャさ―――」


・・・・・
・・・



視点・料理中のメイドC

今日は良いお魚が手に入ったので、魚料理にしましょうか。
……今、何かが立った気がします。
気のせい、ですよね?

「ニャ!」
「ふぇ?」

猫化しているミーシャ様が、いきなり飛び掛ってきた。
なんで!?
ギリギリで避けると、猫の様に魚を銜えて何処かへ駆けて行った。

「……いったい、何が」

ちなみに、このメイドだけが大した被害を受けなかった。

・・・・・
・・・



この日、猫化ミーシャにより、アルテミシア家は壊滅しかけた。
擬似獣人化セットは、厳重に保管されることになった。
ちなみに、ミーシャの記憶は猫と戯れていた時から無い。
猫化ミーシャが何をしたのか、それを知るのは屋敷の者だけの秘密となった。
メイドCが、ミーシャから擬似獣人化セットを外したのだったりする。
そんなミーシャの一日。

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