小説『伝説の武器(笑)、創りますか?』
作者:ディアズ・R()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第三話





いや〜驚いた驚いた。
俺の運もここまでくるとすごいな。
関わると俺の命が危ないな。
ここは、大人しくしよう。

「今すぐに討伐軍を送るべきだ!」
「いや、ここは防備を調えて……」
「傭兵どもを雇って、戦わせればいい!」
「それでは資金がかかり過ぎる!」

こんなんばっか。
いいぞ、もっとやれ。

「……静まれ」

その一声に、混沌としていた場が静寂に包まれる。
カリスマパネェ〜

「我は今回、討伐軍を送ろうと思っている」

その言葉に、お偉いさん達がざわつく。
討伐軍送るべきって言ってたお偉いさんまで驚いてる。
なんでやねん。

「静粛に!」

王様のそばに控えていた美人な騎士様が一喝。
また静かになる。
騎士様カッケ〜

「そこで、討伐軍の指揮をする者はいないか?」

誰も反応しない。
それどころか、下を向いたり横を向いたりしている。
ダメダメやん。
かくゆう俺は、帰る気満々だけどな!

「誰もいないのか?」
「……ならば、私に討伐軍を指揮する栄誉をお与えください」
「む……」

何ともいえない空気を無視して、姉上が宣言する。
マジですか?
てか、この空気で言うとか、さすが姉上。

「姉…上」
「大丈夫だ、必ず、私は帰ってくる」

姉上が心配させないように、ゆっくりと言ってくる。
姉上は死なないだろうから、どうでもいい。
問題は、俺が一緒に行くのかどうかだ。

「僕…は?」
「ッ!?……お前は、お留守番だ」

一瞬の間が怖かったが、よかった。
一応、御守り的な物でも創ろうかな?

・・・・・
・・・


視点・リューネ

「そこで、討伐軍の指揮をする者はいないか?」

王が、そう言った。
だが、誰もその声に応える者はいない。

「誰もいないのか?」

王が問いかける。
先ほどまで、討伐軍を送るべきだと言った者すら下を向いている。
これが今の貴族。
私腹を肥やし、己が欲を優先するだけの輩。
私は、こんな奴らとは違う!

「……ならば、私に討伐軍を指揮する栄誉をお与えください」
「む……」

私がそう言うと、王が少し考え始める。
他の貴族達は、なにやら小さな声で話し合っている。
安全なところから命令しかしない奴らに、何かを言われても何とも思わない。

「姉…上」
「大丈夫だ、必ず、私は帰ってくる」

弟が心配そうに言ってくる。
私の弟は、とても賢い。
だからこそ、わかったのかもしれない。
このまま討伐軍を送っても、意味が無いと。

「僕…は?」
「ッ!?……お前は、お留守番だ」

この子は、自分も連れて行けというのか……
まだ、10歳にもなっていないこんな子供が……
いや、ミーは、私のことを、心配してくれているのだな。
血が繋がっていなければ、私の夫に欲しかったな。

「……では、リューネ・クライア・アルテミシアよ、御主を討伐軍の指揮官として任命する。頼んだぞ」
「ハッ!必ずや我が国に勝利を!」

王の言葉に答える。
今は、私にできる事をするだけだ。

「……いき、てね?」
「あぁ……私は必ず生きて、お前の元に返ってくるさ」

そう、私は必ず生きる。
お前を、ミーを守れるのは、私だけなのだから。

・・・・・
・・・


今すぐにでも行きたいだろうけど、少しの間待っててもらえますかね?
略して、いきてね。
勘違いされた気がするけど、まあいいか。

-4-
Copyright ©ディアズ・R All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える