小説『伝説の武器(笑)、創りますか?』
作者:ディアズ・R()

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第五話





姉上が旅立って、次の日。
概念操作を使って遊んでいた。
ホントにいろいろできて楽しい。
今日は特に何もなかった。
以上。

・・・・・
・・・


視点・リュ−ネ

王の話では、ただ数が多いだけでそれほど強い個体はいないと言われていた。
が、今私の目の前にいるのは、間違いなく人の定めた魔王級の魔物だった。
私の周りには、死んでいった者達が大勢横たわっている。
私の後ろには、魔法特化の遠距離型の兵とその護衛だけ。

「逃げられんな……」

もはや撤退などすることが出来ず、なんとか牽制して押しとどめている状態だ。
私が倒れれば、後ろの者達は抵抗も出来ずに、死んでゆくだけだ。
なればこそ、こいつだけでも―――

「倒す!」

父様から譲り受けた長剣を強く握り、斬りかかる。
この長剣、ミーが触り始めた辺りからとても使いやすくなった。
今着ている軽鎧も、着ているだけで魔力が回復しやすくなったり、体の疲れがほとんど無い。
何かと不思議な弟であるが、帰ったらしっかりと聞き出さなくてはな。

「フッ!」

斜めから剣を振り下ろし、その勢いのままに切り上げる。
自分でも驚くほどの剣速で、腕をあっさりと切り裂いた。
だが、相手は死を恐れず、欲望のままに行動する魔物。
腕を切った程度では、すぐに再生する。
可笑しくなった剣に振り回されない様に、相手の動きに注意を払い、一気に攻勢に出る。
なぎ払い、突き、切り上げ、無詠唱による全属性の初級魔術と闇と光以外の中級魔術。
それでも致命傷を与えられずに反撃される。
長い爪による薙ぎ払い、無詠唱による光以外の中級魔術。
そして……上級の闇の魔術の詠唱。
直撃すれば跡形もなく消滅させられるだろう。
だが、避けることなど出来ない。
後ろには、仲間がいる。
確かに、大して一緒にいたわけでもない。
それでも、見捨てるなんて出来ない。
だからこそ―――

「私は、逃げるわけには―――」

魔術が放たれ、私にまっすぐ向かってくる。
あの魔物には、もう私を殺すこと以外に興味がないようだ。
なら、好都合!

「いかないんだぁぁぁ!!!」

向かってくる魔術に、魔力を纏わせた剣をぶつける様に振り下ろす。
その時、剣から何かが放たれ、ミーにもらった御守りが光り輝き砕け散った。
魔術が消えて魔物を見てみると、真っ二つになっていた。
魔物の中心に核の黒い塊があったが、それごと真っ二つになっていた。
だが、御守りも粉々で、修復不可能のようだ。
魔物達も魔王級がリーダーだった様で、残っていた全ての魔物が引いて行く。

「……ミー、帰ったらおしおきしないとな」

小さく呟き、後ろにいた兵達に告げる。

「この戦……私達の勝ちだぁ!!」
『う、うおぉぉぉぉぉ!!!』

剣を掲げると皆も同じように武器を掲げる。
大歓声の中生き残った者達は死んでいった者達の為にも笑顔で泣いた。
私はそんな中で静かに黙祷する。
黙祷を終えて考えることは―――

「どんなおしおきにしようか」

そんなことだった。

・・・・・
・・・


視点・ミーシャ

何故だろう。
このままだと、とても恐ろしいことになりそうだ。
とりあえず、絶対防御の概念をかけた指輪を作ることにした。
余計酷い事になりそうな気がした。
諦めることにした。
姉上、俺はどうなるのでしょう?
何故か姉上の極悪スマイルが思い浮かんだ。

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