小説『俺の幼馴染は極度のツンデレ女』
作者:散々桜()

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「ふぅ〜、久しぶりだな。元気にしてたか?」
「氷河せんぱーい!!」
「氷河!!」
「お、なんだよ二人共。お前らが揃ってくるなんて珍しいこともあるんだな」
「あはは〜確かにそうですね(なんで未来先輩までいるんですか!)」
「ええ、まぁね(この子、一体何のつもり?)」
「どっか行くか?」
「ええ!」「はい!」

「「………………………」」

「(なんか、この二人怖いな)」



♯15.大会×二人三脚スタートです



というわけでひょんなことから始まった血統。
一体何故? どうしてこうなったのかはさっぱりな俺だが、なんだ? ほかの男子軍は理解しているような顔でいる。

「それでは! 『第一回チキチキドキッ☆二人の女の対決の果てに…!』大会を始めまーす!」

考が指揮を取りながら他の男子二人は暖かそうな目で見守っていた。だが口元は歪んで見える。
場所はビーチバレーのネットもある休憩所もちかい炎天下な場所だ。モロに太陽がこちらに日差しを当ててくる。影にいないと暑い。

「第一回、ってなによ。そんな何回もやるつもりないからね。もっと真面目なネーミングをつけなさい、いいわね?」
「あ、はい」

恋歌ナイス。俺もそう思っていたところだ。

「(俺恋歌ちゃん苦手だよ。お前よく付き合ってられんな)」
「(長いとな。慣れてくるもんさ、人間。それより早く進めたらどうだ?)」

誰がどう考えてもそのネーミングはツッコむと思うけどな。
そんなこんなで始まった『第一回チキチキ』あー、もうめんどくさい! 大会は幕を切った。これからどうなることやら解も検討もつかないこの大騒ぎな迷惑行為はいつ終わるのか。頼むから早く終われと願うのはきっと俺だけではないはずだ。
女子の二人と見るとものすごい火花のぶつかり合いをしている(ように見える…!)

「あ、ちなみにこの大会の優勝賞品は秋島氷河君ですよー。皆さん張り切ってくださいね!」
「おい、それどうゆうことだ!?」







この大会、絶対に負けられないわ!

「この大会の優勝賞品は秋島氷河君ですよー」

絶対に欲しい……!
氷河が私のものになれば、やりたい放題のはず。そうすれば、あんなことや……って、何考えているのよ、私は!
そうよ。この私、未来恋歌が負けてたまるものか。
あの年下属性には勝ってみせるんだから!







「絶対に勝ちますからね氷河先輩!」
「え?」

恋歌先輩なんて抑えてみせる。私には、岬鏡花には年下属性がある!
氷河先輩を獲得した後には……

『氷河先輩!』
『ああ、鏡花か。どうした?』
『氷河先輩……だ、抱いてください!』
『ええ!?』
『だって、氷河先輩は私のものです、よ?』
『し、仕方ねぇ……』

そうして、私と氷河先輩の唇が重なっていき……はぅ。
これは! なんとしてでも獲得すべきです!
負けられない、絶対に……!







「それではまず第一回戦! 戦ってもらう種目はこれだー!」

と、考が思いっきり叫ぶ。
もう止められん。そう思った俺は黙って見ていた。

「『男女二人三脚リレー』!!」
「二人三脚!?」

おい男子二人。なぜそんなに驚く。
いや待てよ? 二人三脚ってことは、あれ? 色々まずくね?
その前に足をくくり付ける紐なんてあるのか?

「なぁ、考。二人三脚って言ってもよ、足をくくり付ける紐なんて持ってるのか?」
「ああそれなら海の家のおやっさんがロープ持ってるからそれ貸してもらった」
「ロープって、痛くないか?」
「大丈夫だよ、ほら。このとおり細くロープ風なのです」

確かに太くもなく、普通のロープよりかは縛られることもなく楽そうだ。
まぁ、これなら大丈夫そうだ。

「組の方はこちらで決めさせていただきましたのでさっそく発表したいと思います!」

皆がゴクリと固唾をのむ。
ここに居るのは俺と恋歌、そして鏡花に男子三人組、さらに鏡花の友達二人だ。
計8人。二人三脚ということは3人、3人の2組になるはずだ。それが限界だからな。
はてさて、俺はどいつと組むことになっているのか……。

「まず1組目は……氷河、鮫島、深木の3人チーム!!」
「ええ!?」
「意外だなー」
「私たちも参加するの!?」

鮫島さん、深木さん。その反応は間違っていません。

「人数の問題もあるからな〜、はは」
「「じゃあ最初から二人三脚するなよ!!」」

確かにそうだ。
となると、恋歌と鏡花はどうなるんだ? まさか、男子三人組の中から一人、そしてあの女子二人という組み合わせになるのか?

「そして2組目は……考、健也、恋歌の3人チームだぁ!!」
「おおー!! 俺が入ってるー!」
「おい、なんで考がはいってこの俺は入ってないんだ!?」
「私があんな奴らと一緒なの? 冗談じゃないわ」

なんともカオスなチームだな。
しかし、鏡花が入らなきゃいけなくないか? ふと、俺は鏡花の方を見る。
すると……あれ? なんか怒ってる?

「どうして私が入ってないんですか! 明、蘭! 氷河先輩に何かしたら許さないよ!」
「わかってます、って……フフ」
「了解だよ〜……へへ」

ここにいる全員のやりとり見てると、自分までおかしくなりそうだな。
とにかく、無駄な時間を過ごすわけにもいかないので、俺たちは指名された人たちと並列に並びロープを足にくくりつけていく。がっちりとくくり付け、今度はバランスをとるためにお互いの肩を持ちあった。
というかこれ、普通に当たってます。
ふと見た男子軍はとても、それはそれは楽しそうであった。一方恋歌は退屈そうだ。いや、呆れてるな、あれ。

「氷河先輩、お願いしますね?」
「私たちが失敗しないようしっかりとリードしてくださいね?」
「お、おう……」

いや、無理だろ。

「それでは! あ、実況はいいからどっちが早くゴールしたか見ててね雄志」
「あいよ」
「それではー! 一について……ドーン!!」

一つ言っておこう。リレーとか言っていたが、これは全くリレーではない。

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