小説『俺の幼馴染は極度のツンデレ女』
作者:散々桜()

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「きょ、今日は少々短めです」
「え、えっと、不定期です……」
「そ、それから、えっと……」
「無理すんな、鏡花。不定期なのは前にも言ったから」
「え?」



♯19.バチ公前に10時集合×1時間前



今日は岬鏡花との遊ぶ約束。
バチ公前で午前10時に待ち合わせになっている。
そして現在時刻は9時55分。いけない、少々寝坊してしまった。
しかし、バチ公前というと、以前のあのことを思い出す。
全く、何がプチ遅刻だ、この野郎。俺は散々な目にあったんだぞ。
と、言っている間にすでにバチ公前となった。見ると鏡花はすでに来ていた。
静かに待っているものの、時にはキョロキョロと頭を左右に振り来ていないものかと確認をする行動が見受けられる。これは、すぐ行かなくちゃな。

「おーい」
「あ、氷河先輩!」
「ごめん、遅れちゃって」
「大丈夫です! まだ10時にはなってないですから!」

と、広場にあった時計台に目をやると、確かに10時にはなっていなかった。
だがまぁ、指している時間は9時57分。これはもう10時と言っても過言ではないと思いながらも、応答してくれたその言葉に感謝を抱きながら、俺たちは都会の街を歩き始めた。







「(き、キター!)」

き、きき、来ちゃったよどうする!?
いや、どうするって言っても遊ぶしかないんだけど。
私、岬鏡花は、今日という日を今世紀最大の出来事と思いながら待ちに待っていた。
あの時、突然の電話ながらも遊ぶことになって以来、私のテンションボルテージはMAXだ。
予想にもしなかったことということもあって、未だに驚きが隠せない。
大丈夫かなぁ、変、とか思われないかな。

「ごめん、遅れちゃって」
「大丈夫です! まだ10時にはなってないですから!」

そう言いつつ、私は9時にここに来ていた。
1時間も待ったんだ、って今は思っている。なんだか先輩のことを考えるだけで時間の流れなんて忘れて、1時間なんてあっという間に終わった感じがする。

「じゃ、行こうか」
「は、はい!」

どこに行くのかな。
私たちは少しの距離を保ちながら都会の街を歩き始める。
どこに行くかなんて私自身決めていなかったことに気づく。ただただ格好とかそうゆう部分だけを気にして、肝心なところ考えることを忘れていた。

「鏡花は、どこか行きたいところあるのか?」
「え、いや、私実は決めていなくて……」

うー、やっぱりダメだよな〜。もう私……。
きっと、なんだよ決めていないのかよ、とか思ってるよ〜。うー……。
街を歩いていると、サラリーマンや遊人、カップル何かが目に入る。特に目に入るのはカップルだ。あんなふうに、手とか繋いでみたい。
カップルに意味もなく嫉妬感を抱く。あ、でも私たちまだ付き合ってないから大丈夫だよ!

「んー、じゃあ、とりあえず喫茶店にでも行こうか」
「はい!」

大丈夫、大丈夫…!

-19-
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