小説『俺の幼馴染は極度のツンデレ女』
作者:散々桜()

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「タイムセール」
それは、女性陣が服を取り合う「戦場」だ。
服だけにとは限らないが、女性陣だったら、大概が服であろう。もしくは、食料品だろうか。
これは、男性陣見てみると、本当に素晴らしい戦いだと思っている。
普段穏やかな人でさえ、その戦場に入った瞬間、荒野を駆けるチーターのごとく速く、折から解き放たれたライオンのように強暴だ。
あそこに男性は入れない。
入ったらお陀仏だ。仏様に迷惑になってしまう。
だがまぁ、そうすることによって、お店は儲かるわけだし、また、個人としても嬉しい。
逆に言うと、タイムセールなどと言うサービスを行わなければ、お客さんはやってこないのかもしれない。
そのために、「ポイントカード」などという便利な物もある。
経済は、サービス精神が必要なのだろうか。
あ? 恋歌?
アイツにサービス精神なんかあるわけないだろ。



♯4.プレゼント×赤い頬



今日は土曜。学校は休みで現在マイホーム。
そして自分の部屋の中。特にすることもなく、今は音楽鑑賞中だ。
音楽鑑賞と言っても、クラシックなどではない。
確かにクラシックもいい。ベートーベンやビバルディ、チャイコスフキーにドボルザーク。
数多くの音楽作家たちは、名曲ともいえる代物を数多生み出してきた。
世界で受けるクラシック音楽だもんなぁ。そりゃすごいもんだ。
だが、そんなCDやレコーディングなど持っていない。
というわけで、普通のJ−POPなどを聞いているのである。
でも、それでもすることないな………。

「あ、そういえば」

ふと思い出した。実は、7月の16日月曜日は、恋歌の誕生日なのだ。
毎年のようにプレゼントを買ってやっている俺。もちろん、長い付き合いだからだ。
その分、恋歌も俺の誕生日の日には、何かしらプレゼントしてくれる。

「ま、始まりは出会った時だがな。出会った年の日に、アイツからプレゼント貰って、それで、俺も返さなきゃと思ってやって、それが今日まで続いている、と」

今考えると、相当長くやっていることだ。
それが無ければ、俺は金の消費をしなくて済んだのか……。
いや、今更そんな嫌なこと考えるのはやめよう。
一応、恋歌の奴だってくれているんだ。詫びとして返すのが礼儀だろうしな。

「今年はなんにすっかなぁ」

腕時計……は、去年あげたし、ネックレス……は、そのまた去年にあげたし……その他もろもろ。
あげてないものと言えば、

「……ブレスレット……かな。確かやってないはず」

そうだ。確かそうだ。
アクセサリー関連にしては結構やったつもりだが、なぜかブレスレットはあげてないんだよなぁ。なんでだっけ?

「ま、いっか。なら今年はブレスレットで決定だな」

しかし、本当になんであげてないんだっけか?
むぅー……マジでわからん。







私は未来恋歌。
実は、来週の月曜日は誕生日だ。となると、夕食では豪華な料理が並び、家族からもプレゼントがある。けど、一番の目的は……

「今年は、何くれるのかな。氷河のヤツ」

そうだ。氷河から毎年貰っているプレゼントだ。
毎年毎年くれるプレゼントの種類は違って、しかもどれも可愛くて……。

「って、別にそんなんじゃないんだから!」

一人で氷河に怒ったつもりのように声を上げる。
だが、鏡を見ると、その頬は赤く染まっていた。
自然と赤くなってしまう。いつもいつも屋上に来てくれたり、いつも一緒にいてくれて。
それに、昔に比べると随分、かっこよくなっていて……。

「だ、だから違うんだってば!」

また声出してしまった。
うぅー……全部氷河のせいだ。
けれど、顔を触るとすごく熱かった。熱ではない。きっと、すごくドキドキしているせいで。

「あーもう! 寝る!」

照れ隠しじゃないもん! 寝たいから寝るだけ!
でもやっぱり、

「何くれるかな。フフ……♪」

そう呟いて、いつしか、すやすやと夢の中へ落ちて行った。


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