小説『愛と幸せ、それから死と』
作者:ララ()

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  星たちが騒ぎ出して、まるで眠れない夜は

  ベットからこっそりと抜け出して

  天国がよく見える場所まで歩いてくの

  ほんとはもっと高い場所へ、もっと誰もいない場所へ行きたいけれど

  あたしはここまでで限界

  空を見上げたら、今にも落ちてきそうな、空を埋め尽くす星たちが

  あたしに笑いかけてくる

  冷たい空気が、夜空を更に美しく引き立てて

  いろんな光の中へ、あたしを導いてくれる

  病気のことなんかすっかり忘れ、冷たいそよ風に乗って高く

  高く、もっと高く、大空へ

  引き込まれていきたい 

  あたしが両手を広げても、あなたたちへ近づくことはできないけれど

  あたしが網を振りかざしても、あなたたちは手に入らないけれど

  いつかお友達になりたいわ

  あたしが消えてしまうまえに、あなたたちとお話したい

  星たちは、嘆くように輝きを増す

  それに答えるかのように、あたしは深く息を吸い込んだ

  あまりの冷たさに肺がきしむ

  けれどそんなの気にも留めずに

  あたしはゆっくり歌を歌う

    愛ってなんでしょう

    幸せってなんでしょうね

    死っていったいなんなのでしょう

    凍てつく寒さの中で、あたしはそれを見つけたい

    どんなに身体が腐っても

    心だけは輝いていたい

    どんな醜い姿になっても

    心だけは生きていたい

    星たちは何百年先も何千年先も

    きっと輝くことでしょう

    愛がほしい

    幸せが、ほしい

  そんなあたしを聞きつけて

  目障りな看護婦が現れる

  なんなのよ、あたしはずっとここでいたい

  星たちとお話していたいのに

  








  しかたないわね

  これで今宵のお話はおしまい

  また、あたしの眠れない夜は











  会いに来るよ

   










-3-
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