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「えー、ゆえにx<3-ax-2x^2が成り立つ………と」
月曜の5時間目。昼食、昼休みが終わり最初の授業。いろいろと気合が入らない。一部の生徒はほとんど頭に入っていない時間。それにしてもこの数学教師。生徒からは評判が悪い。どこが悪いというような物ではない。全体的にそう、総合的に悪いのである。
そんな授業。加賀雄也は一番前の席で、ノートを取っていた。実際は眠たい。昨日は、幼馴染である彩歌と一緒にカラオケに行った。そのためとても疲れている。なんでだろう。もう、昼を過ぎているのに疲れが取れていない。(彩歌がはしゃぎすぎていたことに関係する)
それにしても昨日はなんか変だった。いつもと違う気がした。何かがおかしいと思っていた。だがそれが何かはわからなかった。何かが違う。ただその不自然さだけにただただ違和感を感じていた。
何かが足りない。
そんな違和感。
今日も『それ』を感じる。
雄也は心の中で呟く。
(なにかがおかしい。……なんなんだろうこれは。俺の考えすぎかなぁ………。俺疲れてるのかもな)
まぁたしかに疲れていることには間違いはない。なんせ、毎日のように通う塾。そして土日は遊び疲れ。まぁ今日もそのために眠いのだが。
しかし、ここは一番前の席。しかも教卓の目の前。寝ることなんて絶対に許されない席。
雄也は眠気を払い、自分の中にある違和感、そして、自分の周りから何かが抜け落ちているような感覚に気をとられつつ、授業が早く終わらないかと、ボーっと座っていた。