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キーン♪コーン♪カーン♪コーン♪
無駄にリズミカルな終了のチャイムが鳴っている。
1日の授業も、もう終わりだ。
「・・・・・・、なーんかおかしいいんだよなぁ」
1−Bの教室。窓際の後ろのほうに座っていた、紅照火が呟いた。
自分の左隣の席、そして、その後ろの席が空白になっている。別に『前から』なのだが・・・・・・・・・。この違和感は何だろう。この2つの席には誰かが座っていたかのような・・・・・・、そんな感覚。『元から誰もいなかった』はずなのに、片付けられることもない不思議な席。まるでその席には持ち主がいるかのように。
「おい、照火。なにしてんだ?早く帰ろうぜ」
「あ、飛鳥」
1−Cの生徒で、照火の友達である飛鳥。最近は一緒に帰っている。2人は部活には入っていない。
「どうかしたのか、照火」
飛鳥は怪訝そうに覗き込んできた。
照火は少し俯いて考えた。しかし、いくら考えても、違和感の正体はわかりそうにない。
「照火?」
「・・・・・・ううん。なんでもない。帰ろう。飛鳥」