「すべて・・・・・・、ってどういうことですか?」
「そのままの意味だ。どのローブックがどこにあるかはすべてわかる」
さっき、カイトはこの地区にローブックが1000〜2000あるといった。そんな数をどうやったら把握できるというのだろう。しかも今、カイトがここにいるってことは、前回のlcerより後にここに来たはず。そんなに時間はなかったはずだが。
「カイトのout lawだよ。すごいんだよね。『記憶』のout law。知らないことは記憶の中にない。こんな当たり前の法則から外れてるんだよ」
「どういう・・・」
「まぁようは、僕には知らないことはないということだ」
・・・・・・。憐爾は絶句した。out lawにはそんなものまであるのか、と。知らないことは記憶の中にない、というそんな当たり前の法則から外れている。そしてすべてのことを知っている。
憐爾はここで違和感を感じた。カイトはすべてのことを知っている。ならばなぜカイトにはローブックが読めなかった?
「カイトさん。なんですべてのことを知っているなら、ローブックを読めなかったんですか?」
「ふむ・・・、それももっともなんだが・・・」
一呼吸。
「あくまで僕の記憶の中に『刷り込まれている』記憶のなかにはその言語に該当するものがない。もしあったとしても、知識だけだ。応用力までは存在しない」
それもそうだ。英語だってアルファベットだけ知っていてもなんにもならない。
「なるほどね・・・。それで初音。もう一個のout lawってなんなんだ?」
「ん・・・、さっきNo existenceを説明する時に言った、『地球に存在するものは重力に逆らえない。』自分で重力に逆らう、逆らえないということを決めることができるんだけど・・・・・・・・・。その気になれば天井にも立てるよ。しないけど・・・・・・・・・」
「ふーん・・・・・・、それでその『地球に存在するものは重力に逆らえない』というout lawのローブックってどこにあるんですか?早速いきましょう」
どうせ、自分は何もわからない。先に手伝っていても問題ないだろう。
・・・・・・、ふと思った。もし自分のout lawがほかの人と一緒だったらどうしよう・・・と。
「場所は神鳴市市民図書館付近だ。正確にはわからないが必ずその近くにある。急ごう」