小説『No existence【停止中】』
作者:迷音ユウ(華雪‡マナのつぶやきごと)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

AM8:50。今日は幼馴染である弓張 彩歌(ゆみはりあやか)と加賀 雄也(かがゆうや)たちと一緒に遊ぶ約束をしている。午前中は適当に暇をつぶし、午後からはカラオケに行くつもりだ。待ち合わせの場所は雄也の家の前。ここから歩いてすぐの場所だ。ちなみに彩歌の家は裕也の家の隣である。

待ち合わせの時間は9時。そろそろ行くことにする。

「んっじゃいってくるから」

憐爾はそう言ったが母親からの反応はなかった。特に気にはしなかった。

家をでる。歩いて雄也の家まで行く。

歩いて5分ぐらいの場所。雄也の家はそこにある。一応携帯で時間を確認する。8:57。十分間に合った。はずだったが、雄也の家の前には誰もいない。

「まだ家にいるのか…な」

インターホンを鳴らしてみる……反応がない。?とおもい隣の彩歌の家にも行ってみるが同じく反応がない。

「あれ、どうしたんだろ」

ためしに携帯でメールを打ってみる。

−おーい雄也。今どこにいんだ?−

送信ボタンを押した。……のだが何故か画面にはこんな文字が。

『送信に失敗しました』

何回してもこの表示が出る。

「おかしいな…」

憐爾はメールを送るのをあきらめあたりを見渡した。

「さては…先行きやがったな……」

まぁ納得できる。雄也も彩歌も結構せっかちな性格だ。幼馴染だからよくわかる。

「だとすると急がなきゃな………」

憐爾は小走りになって最初の予定地だった場所へと向かった。軽く2分ぐらい走った場所。自分より10mぐらい先に2人はいた。

「おーい!お前ら!なに先行ってんだよ!」

聞こえると思うぐらいの声で言った。だが反応がない。

「おーい!!雄也!彩歌!!」

さっきより大きな声で言った。

2人は楽しげに話している。まったく憐爾の声が届いてるような感じがない。

「ちっ、あいつらわざと無視しやがってんな」

憐爾は小走りになって近づいていき、雄也に手をかけた。

「おい、雄………や…って……あれ?」

手をかけても気づいた様子がまったくない。それどころか手がまるでかけられていなように進んでゆく。逆に憐爾の手が引っ張られる形になる。とっさに手を離す。2人はそんな異常に気づいていないように、そのまま先へと歩いていった。

「なんなんだ……これは」

そういえば、朝、自分の母親も何の反応を示さなかった。これでは自分の声が聞こえず姿も見えていないような。

憐爾はこのとき始めて異常に気づいた。

-3-
Copyright ©迷音ユウ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える