「重要文献資料庫か・・・・・・」
分厚く頑丈そうな扉で閉ざされているその部屋。とても怪しい。絶対この中にありそうな気がする。憐爾は扉の近くまで寄った。暗証番号。カードキー。静脈認証。指紋認証。4つもの鍵(ロック)。これではあけることができない。・・・とここで憐爾はふと思った。
「・・・・・・初音なら蹴破れそうだな」
扉の前で立ち往生しているうちにまた20分がたった。着信音とともに2件のメールが届く。
『こっちは何もなかったよー』
『こちらにはなかった。二人はどうだ?』
憐爾は2人にメールを書く。
『こっちは怪しいところを発見した。ちょっと○○番の棚の近くまで来て』
◆
数分後、初音とカイトが憐爾のもとまでたどり着いた。
「怪しいところってどこ?」
初音が訊いてきた。
憐爾は自分の後ろにある扉を指差して、
「重要文献資料庫。ここ。なんか怪しくないか?」
憐爾がそういうと2人はなるほどと頷いた。
「たしかにここは怪しいな・・・・・・」
「うん、そうだね・・・」
「なぁ思うんだけどさぁ」
と憐爾は初音に訊く。
初音は
「なに?」
と答える。
「ここセキュリティすごいじゃん。だからさお前のそのout lawつかって蹴破れない?」
「・・・・・・・・・」
初音は憐爾の言葉をきいて、少ししてから体を捻り、なぜかこちらに蹴りかかってきた。2回目のことなので憐爾もヒュッと身を翻しよける。
「なぜまたいきなり蹴ろうとする」
「・・・・・・」
「こっちはまじめなんだけ・・・」
初音は自分の服装を改めて見て、少しの時間を置いて小さく頷いた。
「いや、別に蹴らなくても・・・、脚力だけじゃないんだろ?そのout law」
「う・・・うんまぁそうだけど。・・・いやそんなこと知ってたけど?今からそれするつもりだったんだけど?」
「・・・・・・」
いきなりどうした・・・。
「でもここ壊したら、警備員とか来たりしない?あとからいろいろ大変そうじゃない?」
初音がそういうと、カイトは少し考え込んで、
「いや、問題ない。理由はあとで説明する。今はとにかく早く」
といい、初音をせかした。
初音はすばやく身を構え、こぶしを握り、腕を前に突き出す。壁は粉々とまではいかないが(憐爾はそうなると思っていた)一部が崩れた。
「もう一発かな・・・?」
そしてもう一発。何とか人間が入れるぐらいの穴が開いた。
(怖いなぁ。こいつ・・・。それにしてもよく俺はこんなのに蹴られて生きてたなぁ)
憐爾はそんなことを思いながら重要文献資料庫にはいった。