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入るとそこは意外にも広い空間だった。学校の教室ぐらいの広さ。中央には机、いす、パソコン、コピー機・・・、そのほかいろいろとよくわからない機材が置いてある。
「へぇここが重要文献保存庫かぁ・・・」
その部屋の壁際にはガラス張りの本棚が置いてあり、扉にはこれまた電子錠がかけてある。ガラスもよく見ると、耐熱性や強度に優れた最新のもののようだ。
「それにしても、ここまで厳重な管理って・・・。神鳴市(ここ)税金の無駄遣いだな」
ちょっとそういうことを言っていると、カイトは、
「いや、そうじゃない。ここは本当に貴重な文献が大量においてある。ゆえに国から補助が出ていたはずだ」
「へぇ・・・」
カツ、カツと無機質な保存庫に3人の足音が響く。3人はそれぞれ手分けして本棚を探し始めた。
◆
「うわぁ・・・本当にいろんなのがあるな・・・」
いつのものだろうというぼろぼろな本から、なんだか戦時中に書かれたとおもう軍か何かの資料。そのほかいろいろ。これだけ厳重な管理がしてあるのもうなずける。
「それにしても・・・、こっち側にはないみたいだな」
憐爾は右の本棚を一通り探したが、あのなぞの言語が書いてある本はなかった。まぁ一瞬見間違えた本はあったが。(ただの筆記体で書かれた英語の本)
「そっちにはありましたか?」
憐爾がカイトに問う。
「いや、こっちにはないようだ」
となるとあとは初音のほうだけ。本棚の面積的には一番広い。
「ん、ちょと待って。探すの手伝って」
初音は一冊一冊丁寧に探している。
「OK」
3人で捜索を開始した。
◆
カツン。図書館の入り口付近に一人の女が立っていた。
その女は不敵な笑みを浮かべると、図書館へ入っていった。