「ちっ」
憐爾はしたうちする。あの化け物のような力に自分が勝てる道理はない。
「憐爾、大丈夫?」
初音が憐爾のもとへ駆け寄る。
「あぁ、大丈夫・・・っッ」
鈍い痛みが憐爾を襲う。
「(やばいな・・・、いったん引こう)」
「(でも、引くといったってどこに・・・)」
「(どこでもいい、とりあえず引くぞ)」
新川はこうやって話しているときにはなぜか攻撃してこない。そういう主義なのだろうか・・・。
「(相手は足速いぞ?おそらく50m3秒ぐらいで走るだろうな)」
「(げっ、3秒!?)」
憐爾は大体7秒。4秒も早いとは・・・。
「(よし、・・・・・・今から10秒後にはしれ、思いっきりだ。あとで適当な場所に落ち合おう)」
2人は小さく頷く。
3人は新川のほうを向く。
「あら、作戦会議は終わったかしら?」
新川は再び戦闘態勢になる。
4。
3。
2。
1。
「走れ!!!!」
カイトが大声で叫んだ。
と、ほぼ同時に3人は資料庫の入り口に向かって走り出した。
「!?」
新川はあまりにも突然のことに驚いていた。
気づいたときにはすでに、3人は資料この外を走っていた。
荒川は追おうかと考えたが、やめた。別に今追っかけなくても問題ない。
「まぁいいわ。今は逃がしてあげる。でも次あったときには逃がさないわよ」
まぁ、こっちには相手の居場所を簡単に見つけることができる。
「じゃあ、もう少ししたら探してくれる?陸人(リクト)」
新川は誰もいないはずの空間にそういった。