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「ハァ、ハァ・・・」
憐爾はとにかく走って自分が最初にいた公園まで来ていた。まぁ、いたのは自分ひとりだけ。二人とははぐれてしまったようだ。憐爾は携帯を取り出し、二人にメールを送る。
約一分後、返信が来た。カイトからだった。
『無事でなによりだ。今からさっきも言った人物の場所に急ごうと思う。地図は添付しておく。なるべく急いでくれ。それと初音はこっちにいるから心配しなくてもいい。』
辺りを見回す。どうやら新川とか言うやつは、追ってはきていないようだ。憐爾はメールに添付されていた地図を開く。地図に示されていた場所はここから意外と近いようだった。
憐爾はハァとため息をつく。
空を見る。すでに空は茜色に染まり始めていた。おそらく四時半ぐらいだろう。きれいな色だった。今までこんなにきれいな夕焼けを見たことがあっただろうか。しかし、あと少しでこのきれいな空も闇へと変わる。
「・・・・・・。急がなきゃな」
憐爾は前を向き、夕暮れの道を走り始めた。