第二章 -Memory Limit
「ソラトさん・・・?ていうんですか?」
憐爾は訊き返した。なんだかカイトと名前が似ている。
「そうだよ。君の名前は?」
憐爾は少し小さめの声で、
「憐爾・・・、山鳴憐爾」
その名前を聞くと、ソラトはなぜか「へえー」といい、
「山鳴か・・・。うん。うん。君はNo existenceなんでしょ?」
憐爾は頷く。
「やっぱりね・・・」
「やっぱりってなにがですか?」
「いや、いや、こっちの話。気にしないで」
なにを言ってるのだろうか・・・。よくわからない。
「寒いだろ?僕の部屋にきなよ」
ソラトはそういってきたが、憐爾はためらった。まだカイトもきていないから、それはまずいだろうとおもったのだ。しかし、ちょうどそのときは走る音が近づいてきた。
「おーい憐爾〜〜。無事だった?」
初音の声。声のしたほうを向くと、初音とカイトがいた。カイトは憐爾に「遅れてすまなかった」というと、ソラトのほうを向いた。
「久しぶりだな」
「ああそうだね。半年振りぐらいかな?」
やはりカイトのいっていた人物はソラトだったらしい。それにしてもこう並ぶと本当に見分けがつかない。そんな双子・・・にも見える二人を見て、初音は目を丸くしている。
「ねぇ憐爾・・・なにあれ。カイトが二人いる」
「あぁ・・・よくわからないんだよ」
カイトは二人がそんなこと呟いてるのも知らず、ソラトと何か話している
「・・・・・・ということなんだ。頼めるか?」
「あぁ、勿論。さ、三人とも僕の部屋に来て。寒いだろ?ここで話すのは」
そういってソラトはアパートの階段を、カンカンと登っていった。