カイトは多少不機嫌な顔をし、
「カイトさんか。まぁいいや。ともかくその質問は想定内だ。ていうか、初音から聞かなかったのか?」
「いや……簡単には聞いたんですけど………」
「だから、敬語はやめろって。俺嫌いなんだ。まぁ、簡単にきいたってんなら、中途半端に途中からはじめるより、もう一回はじめから話そう。いいか?」
憐爾は頷く。
「No existence。この世界に存在するさまざまな法則からはずれ存在を消された人間のことを言う。まぁ命名は俺だ」
お前か。
カイトはそんな憐爾の心の突っ込みに気づく風もない。
「この世界の法則から外れるということは、普通ではありえない力を人間が手に入れるということ。俺はその力を『Out Law(アウトロー)』と呼んでいる」
アウトロー……。さっきの初音の怪力のような物だろうか。自分にも何か力が備わっているのだろうか。分からない。
「そうだ、憐爾。おまえ、いつNo existenceになったか分かるか?」
いつといわれても………。
「昨日の朝おきた時からだと思う。詳しい時間は分からない」
「ふむ、それはよかった。ならまだ時間は156時間あるな。次のlcer(ルカー)まで……136時間。間に合うな」
「時間?lcer?」
「あぁ、『Law Corect&Existence Recovery』の略だ。まぁおれはあまり英語得意じゃないからな。単語を並べただけだが」
じゃあ使うな……。
そんなことを思いつつ、なんとなく訳してみた。法則修正、存在回復。
「俺たちが元のように存在を持つ方法。それはこの世界に用意されている。それが『lcer』だ」