小説『オニが出た日』
作者:夢色真珠()

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 怖がっている唯を見て、僕はちょっとだけからかってやろうかな?
と思った。

 お母さんはお祭りの役員に選ばれたとかで、忙しくて唯をかまってやれない。
だから少しぐらいからかってやっても大丈夫そうだ。

 「唯、鬼がいるかどうか見に行こうか?」

 「えっ、こわいよ・・・」

 「大丈夫だよ、少しだけ見に行くだけだから」

 そういって僕が歩き出すと、唯は慌てて後についてきた。
一人きりになるのが怖いらしい。

 着いた先は僕の家が物置として使っている、古い小屋だ。
そこにはお祭りで使う太鼓の予備がおいてある。
町内から預かっていることを僕は知っているんだ。

 入り口にどさっとランドセルを放り投げると、太鼓がおいてあるところまで
ずんずん歩いて行った。
唯も慌ててついてくる。


 「なぁ、唯。
  『オニが来る音』ってこんな音じゃないか?」

僕は太鼓のバチを取り、適当に叩いてみた。

 ―― ドコドコ、ドコドコ、ドコドコドンドン ――

 「そう!このおと!」





 



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