唯は目を見開いて驚いている。
かなり驚いているようだ。
僕は続けて話し続ける。
「実はな・・・これは『オニ』を呼び出す音なんだよ。
鬼はこの音を聞くと、どこからかやって来るんだ」
「・・・いまから『オニ』がくるの・・・?」
唯はおそるおそる聞いてくる。
どうやら本気で怯えているようだ。
予想通りの反応だ。
「そうなんだよ・・・。
実はもう近くまで来ているのかもな」
「もう、やめようよ〜
『オニ』がここにきちゃうよっ!
唯、こわい!!」
唯は本当に怖いらしく、辺りをきょろきょろと見渡している。
『オニ』がいないかどうか確認しているようだ。
「わかった、わかった。もう止めよう」
ほっとした唯の顔を見て、僕はにたりと笑って
次の行動に移った。
さぁ、ここからが本番だ。
僕の腕の見せ所だぞ。
「あっ、あそこに鬼が来てる!」