標的4 「おしゃぶり来る!」
***10年前・イタリア***
痛い!
天空の腕を、銃弾がかすめる。
痛い、痛い、痛い…
どうして私たち、こんな思いをしなきゃいけないの?
何にも悪いことしてないのに…!
天空は、母親に連れられて走る。
ただひたすら、前だけを見て。
必死に、走り続けている。
もう何十分も、必死に、追ってくる者たちから逃げ続けている。
母『う…』
天『お母さん!!』
母親の足に銃弾が当たり、うずくまった。
母『いい?天空。…よく、聞きなさい…』
お母さん…
天『…なに?』
母『母さんは、もう…走れないわ。…この先は、…あなた一人で行くのよ…』
一人にしないで!
そう言いたいのに、言葉が出てこない。
母『…これから…きっとあなたは、たくさん…辛いことが…あると思うわ…』
天『…うん』
母『でも、何があっても…そこで諦めては…駄目よ…。
生きていれば…きっと…幸せも訪れるのだから…』
母親の手が、天空の頬に触れる。
…冷たい…前に本で見たことがある…お母さんは血を流し過ぎているんだ…
何の本かは忘れたけど…このままじゃ…!!
母『だから…強く生きなさい…生きて…』
天『お母さん!』
はっ!追手が来る…!
母『行きなさい!!』
母の言葉に、弾かれるように走り出す。
瞳から溢れる涙をぬぐうと、ちらっと後ろを振り向いて淡く微笑んだ。
お母さん。私は…今ここで、強くなると誓います。
大切な人を護れるように。
もう二度と、誰かが傷つくことがないように――――。
*******
―――――――――!
今のは夢…?…いや、記憶か…。
ずっと思い出せなかったのに、どうして…?
?「初めまして。月城天空君」
天「!誰?」
チェ「私の名はチェッカーフェイス。君に渡したい物があってね。
君の夢に来たんだ。」
天「え…じゃあここ、夢の中…?」
チェ「そうだ。」
チェッカーフェイスって確か、リボーンたちを呪った人だよね?
チェ「君はアルコバレーノに選ばれたんだ。」
天「アルコバレーノ?」
…ここは、知らないフリが一番良いよね。
チェ「簡単に言うと、君にこの“月のおしゃぶり”を守ってほしいんだ。」
うわ〜マジ?…一応聞いてみよう
天「…ちなみに拒否権は?」
チェ「(笑)」
無いのか。しょうがないな…
天「守るにしても、私はごく普通の一般人ですよ?あんまり身体能力とかないし…」
チェ「その心配は必要ない。私が何とかしよう。」
天「はあ…それならいいんですけど…」
ん?いいのか?これって、呪い受けるって言ったようなものだよね?
チェ「頼んだぞ。」
ええっ、ちょっと待って!!
―――――――。
ガバッ
飛び起きると、そこはだいぶ住み慣れた自室のベッドだった。
恐る恐る、自分の体を確認する。
天「あれ?赤ちゃんじゃない!っていうかおしゃぶりも無い!」
リボーンが好き過ぎて変な夢見たのかも…。
少しほっとして、顔を洗おうとベッドをおりて―――
天「あ…」
枕元に、銀色のおしゃぶりが置かれているのが目に入った。
思わず、自分の頬をつねる。
天「夢じゃないっぽいな。体が変わってないって事は、ユニやアリアと
同じか、似た感じの呪いってことかな?」
…チェッカーフェイスが言ってたことも気になるし、あとで試してみようっと。
それにしても…
アルコバレーノ…か。
天「…まだ良く解らないけど…頑張るよ。母さん……。」
――――あの日の誓いを果たすために。
――――――入学式まで、あと三日。
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あとがき
ちょっとシリアスでした。
原作キャラ初登場はまさかのチェッカーフェイス!
最初は出す予定はなかったんですけどね。
何か出てきちゃいましたw
次回は頑張って原作キャラを出したいです!
さすがに、ずっと主人公ばっかりだと…(汗)