「俺は、真剣に水滝さんと戦ってるんだ、君は黙っててくれ!」
「はあ?今あんた、なんつった?」
「だから、君は少し黙っててくれ!って…うわっ!」
「言っとくけど…今はある人の命令で、殺さないようにしてるけど、その気になれば、
あんたみたいな変態は、一瞬にしてこの世界から消し去ることだって出来るんだからね?…分かった!?」
「…は、はい…」
「あんたは、おとなしく証を受け取れば、それでいいの!それに、今日は場が悪い…。
本当の勝負はまた次の機会にでもしなさい!」
―さっきから、どうしてこんなにもこの子は偉そうなんだ?俺と、たいして年齢もかわらないくせに…。
俺は何が何だか訳が分からないでも、何故だろうか。何か、懐かしいというか、
いつもあっているような…気がする。俺は頭の中にある記憶の糸をたぐりよせるようにして、
想い出を振り返るが、なかなかそれが思い出せない。後、もう一歩のところまで来ているのだが…、
なかなかそれが出てきそうで、出てこない。全く歯がゆい気分だ。頭の中がモヤモヤして気持ちが悪い。
「さぁ、私にアナタの持ってる証を渡して!」
「いやよ!年下の子供に、どうして私が指図を受けなければならないの?」
「私を年下扱い…。アナタ…名前は?」
「水滝…麗だけど?」
「水滝 麗…その名前ちゃんと覚えたわよ?アナタ、後で用があるから私と一緒に来てね…」
「えっ?…―」
「質問は一歳受け付けないわ!」
水滝さんは何かを言おうとしていたのだろうが、その言葉を途中で少女にかき消された。
しばらくして、結局俺は、水滝 麗さんとの決着がつかないまま、何故か証を受け取り、
俺はその場に呆然と立ち尽くしていた。
「何をやってるの、ホントあんたはバカね…」
「お前に言われたくねぇよ!」
「お前じゃなくて、ルナーよ、ルナー…」
「ルナー?外国人か?」
俺が疑問を抱きながら聞いた。
「えっ?…まぁ、そんなとこかしら…。そうだ、名前聞いてなかったわね…」
「ああ…神童 響史だ!」
「響史…ふぅ〜ん、これ…必要なんじゃない?」
そう言って彼女に渡されたのは、さっき水滝さんに破壊された携帯だった。だが、少しばかり形が違う。
「少しばかり、改良を加えさせてもらったわ!安心して、ちゃんと便利な機能しか加えてないから…。
こう見えても、私発明家なんだから!じゃあね、ルリによろしくね?」
その時俺は新たな疑問が生まれた。
―あれ?どうして、瑠璃の名前を?
「おい!何で瑠璃のことを?」
俺がルナーに聞こうとして、後ろを振り返った時には、既に誰もおらず、車や通行人の安全のために、
所々に設置されている内のヒトツである、ミラーがあるだけだった。その時、
俺はルナーという名前について考えていた。
―ルナーって言う名前、どっかで聞いたような…。
俺は腕組をしながら頭で考え、結局家に到着するまでず〜っと考えっぱなしだった。
いつの間にか俺は、怪我していることも忘れてしまっていた……。