小説『魔界の少女【完結】』
作者:YossiDragon()

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「もう、皆の意気地なし!…もういいよ、私がやるから!」

「姫様がやるのであれば、私がやろう!」

「では、私も…」

「私もやる!」

「お姉様がやるんでしたら私もやりますわ!」

「「「「どうぞどうぞ!」」」」

「ええぇ〜!!!?」

どこかのお笑い芸人がやっていたようなことをやっている五人の悪魔…。そんなことをやっている暇が

あるのならば、早く俺の傷口をふさいでほしいものだ…。

「分かった…じゃあ、ここはマジメにジャンケンで決めましょ?」

「うむ、それなら運任せだから、文句の言いようもないだろう…」

「うぅ、仕方ないですわね…」

それぞれ何やかんや文句をいいながら、結局ジャンケンで決まる事になった。

―なんでもいいから早くしてくれ!


「じゃあ、いくよ?最初はグー…―」

と、言って本当は、ジャンケンが始まるはずなのだが、何故か彼女達のルールは少し違っていた。

「最初は、パー!!」

「え〜!?そ、そんな…最初はグーのはずではないですの?」

「そんな、ルールないよ?」

瑠璃が少し笑みを浮かべながら、霰に言う。霰は、姉妹を見たが、誰も彼女に何も言ってくれなかった。

「さっ、真剣勝負に負けたんだから、霰が響史の傷口にこの薬ちゃんと塗ってね?」

「わ、分かりましたわ…理由はなんであれ、負けてしまったことに変わりはありませんものね…」

―なんだろう、霰が凄くかわいそうだ…。


霰は、気絶して仰向け状態になっている俺の側に歩み寄り、ゆっくり座ると俺の上着を脱がし、

俺のわき腹から胸にかけて出来ている大きな傷口に薬を塗り始めた。

「うぅ…どうして私が、こんな変態の体に薬を塗らなければならないんですの?」

「口を動かしている暇があるなら、ちゃんと手を動かせ!」

「はい…ですわ」

霰は霄の注意を受け、しょんぼりとした表情で俺の体に薬を塗った。



1分後…。俺の傷口は薬に覆われ、赤い血にまみれた傷口は見えなくなった。

「ふぅ…これで、一応は大丈夫のはずですわ…後は、治るまで待つしかないですわね!」

「でも、明後日の学校はどうするの?」

霊が言った。

「そうですね…響史さんは、誰かが看病するというのはどうですか?」

「でも、誰が?」

「やっぱり、ここはジャンケンで決めたほうが…―」

「ううん、私がやるからいいよ!」

瑠璃が言った。

「ですが、姫様には…」

「私が、元々彼をこんな目に合わせるはめになったんだから、これくらいはしないと…」

「すまぬな…安心しろ!姫様と響史の二人分のプリントは、私達が必ずもらってくる!」

「うん、ありがとう…」

「じゃあ、そろそろ私達も寝よっか!」

「そうですね…」

こうして、五人の悪魔は明後日の計画を立て、床に敷布団をしいて、その上に気絶している俺を寝かせた。

そして、彼女達はリビングの電気を消し、二階に上がっていった……。

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