―そういえば、こいつ、自分のことを発明家とか言ってたな…。
俺はそんなことを思いだしながら2人の会話を隣で聞いていた。
「はい!これが、その渡したいもの…。慎重に扱ってね?それ、結構デリケートに出来てるから、
下手したらこの光影都市丸ごと消し飛ぶかもね★」
「それは、困る!!」
俺は焦って思わず口をはさんでしまった。
「ふふ、冗談よ冗談!そんな威力は、これには入ってないわ!…たぶん」
「何だよ、最後のたぶんって…!」
俺は少し不安になってきた。
―この発明品を使うのが零ならまだしも、よりにもよって瑠璃が使うなど100%危険に違いない。
そう思ったのだ。
「あっ、それとあんた、昨日これ忘れていったでしょ?はい!」
そう言って、俺はルナーに何かを渡された。
「ん?あっ、守護者の証…」
「そうよ!昨日、麗からもらったの…」
「そういえば、あの人は今どこに?」
「知りたい?」
「えっ……!?」
―何かあったんだろうか?
俺はさらに心配になってきた。
「たぶん、明日になったら、会えるんじゃない?」
「それって、どういう…―」
俺が最後まで喋ろうとしたその時、急にルナーが言葉を遮った。
「じゃっ、そういうことで、私は鏡界に帰るね?じゃあね〜!」
ルナーは手を振りながら、昨日の中央公園の方向に走って行ってしまった。
「一体なんだったんだ?」
「さぁ…。それよりも、これなんだろう?」
「分からねぇ…。無闇にあけないほうが、いいんじゃねぇか?」
「そ、そうだね…」
瑠璃と俺の意見が一致し、その荷物はとりあえず、押し入れにしまうことにした。
その時、俺はルナーに渡された発明品が、後々大変な事件を引き起こす原因になるとは思いもしなかった。