小説『魔界の少女【完結】』
作者:YossiDragon()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

「だ、ダメだ!それだけは…許してくれ!!」

「許してくれ…だぁ?」

「う…ゆ、許して……ください…」

ついに、霙はプライドをはねのけて、許しを請う言葉を口に出してしまった。

「くっくっく…その言葉…待ってたぜ?だが、あれだけボコ殴りにされたんだ…!ここまで来て、

後には引きさがれねぇよな!なぁ、お前ら?」

「へっへっへ…その通りですアニキ!」

「くっ…あんたら、こんなところで、こんなことして、誰かに気付かれても、知んねぇぞ!?」

「ぶぁあ〜か!こんなところに、一般人はやってこねぇさ!サツだって俺らには、太刀打ちできねぇ…。

諦めな!お前が俺達に喧嘩を吹っかけなけりゃこんなことにはならなかったんだ!わ〜ったか?」

リーダーは周りを取り囲む、不良の男たちを見てそれぞれ目で合図すると、

彼女のスカートのチャックに手をかけた。ジジジ…とジッパーをおろし、

ついに彼女の白い日差しを浴びていない足からスカートが外されようとしたその時、

鑑賞していた男たちの中に光影学園の制服を着た男子生徒がまぎれていた。

「ぬぅわぁああ!!」

「なんだ!?」

「あっ、どうも!いやぁ〜連れがお世話になりまして…」

「はぁ?つれだぁ?お前何もんだ…この女とどういう関係だ?」

「えっ?えっと、その…あっ、義理の妹です…」

「誰だ、アンタ…」

その霙の一言で全員が無言になった。

「おい、てめぇ嘘か?」

「うあぁああ!!お前、どうして話を合わせないんだよ!」

「はぁ?何でアタシがあんたに話合わせなきゃなんないんだよ!第一、あんたはアタシが殺す相手だぞ、

神童 響史!!」

「お前、護衛役?」

「なっ、こんなところでその言葉を口にすんな!!」

霙は不良に取り押さえられているために、仰向けで俺に言った。

「おい、てめぇ無視してんじゃねぇぞ!!」

不良の一人がそう言って、俺を押した。

「うわっ!」

「なっ!?」

俺は思う…。どうして、俺はこんなにアクシデントに巻き込まれるんだろう。今、思えば、

小さい頃からそうだ。犬にぬいぐるみを取られそうになっている女の子を助けようとして犬と戦ったら、

仲間の犬が大量出現し、返り討ちにあったり、階段を降りていたら、足が滑って転げ落ちたりなど様々。

今回だってそうだ。たまたま、学校に行こうとしていたら目の前に不良の集団がたくさんいて、

何かを囲んでいたから、何事だろうと思って覗き込んだだけなのに…。まさか、

護衛役が襲われてるだなんて…。そして、今もそうだ。俺は目の前に仰向けで取り押さえられている少女と、

キスをしていた。しかも、手はあってはならぬ位置にあった…。アレ?そういえば、

随分前にもこんなことがあったような…。

「い、いっ…いやぁああああ死ねっ、この変態!!!!」

「ぐるぅうぼおぉおおおお!!!!」

ギュルルルル…ドシャッ!!ズリリリリ…ドサ…。

激しい効果音に、舞い上がる砂煙。そして、シューシューと音を立てる俺の体。アスファルトとこすれ合い、

俺の制服はボロボロ…。そして、俺は気づいた。彼女はすさまじい怪力の持ち主だということを。

「あれっ?力が戻ってる…?ってことは…ー」

ドンッ!!

彼女は思いっきり気をためて、アスファルトを殴った。すると、震度5はあるくらいの地響きが、

地面に横たわっている俺や、不良達を震わせた。

「なっ!て、てめぇ〜!力が戻りやがったのか?」

「ふっふっふ…どうやら、そうみたいだな?あんたら、死ぬ覚悟は出来てんだろうな?」

「うぅぁ…ま、待ってくれ!服は返す!この毛布も返すからよ!頼むゆ…許してくれ…

いや、許してください!!」

「もう、遅い!」

ドゴバキッゴシャッ!

「がっ!ぐはっ…ば、バケモノなんかじゃねぇ…か、カイブツだ!」

ブチッ…!

何かが切れる音…。

少女は傍に落ちていた小さなハンマーを拾い上げると両手で握りしめ、巨大化させた。そして、

それを思い切り慣れた手つきで回し、足を踏み込むと、目に炎をたぎらせながら、

ハンマーを野球のバッドのように振るった。

「死ね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

カキーン!

「「「ぐぅわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」」」

キラーン!

光り輝く☆…それは、何だか俺には綺麗に見えた。

-130-
Copyright ©YossiDragon All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える