「あ、ああ…。そういえば、昨日ルリと霄と一緒に寝たんだったな…」
俺は、ようやく昨日の一件を思い出した。すると、俺が掛け布団をどけたせいか、
寒くてルリと霄の二人が目を覚ました。
「あっ、悪い…。起こしちゃったな…」
「ううん、それよりもありがとう…。凄く気持ちよく寝れたよ…」
ルリのトロンとした瞳に俺は思わずドキッとして、彼女の奥に見える壁に、視点を変えて話した。
「そうかそれは良かった…」
俺にはそれくらいしか、返す言葉がなかったのだ。
「それよりも、今何時なんだ?」
霄に言われ、俺は机に置いていたデジタルの目覚まし時計を見た。目を細め、よく見ると、
時計は一時をしめしていた。
「うわっ、マジかよ…。思わず、午後まで寝ちまった…。せっかくの連休が…」
パリン…。
俺の連休の計画が、繊細なガラスの様にあっさり壊れていく…そんな音が脳内で聞こえたような気がした。
「まぁまぁ、そんな落ち込まないでよ響史…。私達がいるんだからさ…?それよりも、お腹すいちゃった。
何か食べようよ…」
「それも、そうだな…」
我ながら落ち込んだ後のこの復帰力は、自分でも目を見張るものがあった。
「で、何が食べたい…―」
「おにぎり!!」
俺が最後まで言葉を発する前に霄が眉毛をきりっと上げて、ハッキリした声で言った。
「あ、ああ…。でも、またか?」
「もちろんだ…。あの味は何度食べでも飽きない……特にツナマヨ味は!」
「まぁ、そうだけど…」
俺は少し呆れたような顔をしながら、彼女の言い分を聞いた。
「はぁ…。分かった。じゃあ、ちょっと準備してくるから、少し待っててくれ…。
あっ、そうだ。ついでに、顔洗って来い!」
「うん…」
ルリが明るく返事をし、一階に駆け下りていく。