「響史…。ようやく、見つけたぞ」
俺は玄関前に正座し姉に土下座した。
「すみませんでした…」
その様子を見ていたルリが心配そうに俺の様子を伺う。
「だ、大丈夫響史?」
「ちょ、お前何で出て来るんだよ!!」
「今、何か変な音がしたが何かあったのか?」
―うわ〜お…。居候全員勢揃いかよ…。
―こりゃ、もう隠すどころじゃねぇな…。
「まぁ、見ての通りこういうことだ…」
「きょ、響史。
お前、いつの間にこんなにたくさんの女の子を連れてくるようになったんだ?
しかも、お前の見る目もなかなかだな…。
全員美少女ばっかりじゃん…」
「い、いやこれには深いワケが…」
「響史…。俺は、お前がこんなにも成長できて嬉しく思うぞ?」
姉の言葉に俺はどんどん胸が重くなった。
「ところで、話は変わるけど、姉ちゃんここに何をしにきたんだ?」
「ああ…。ちょっと、買い物帰りのついでに家によっただけだ。
お前が随分怪しかったんでな…。
まぁ、でもこのことも確認できたし俺帰るわ…」
その帰るという一言に俺は疑問を抱き、姉ちゃんに聞いた。
「えっ、あの…この壊れた玄関ドアは?」
「ああ…。直しといて…。じゃ!」
「えっ、ちょ…」
「ああ…。肝心なこと言うの忘れてた」
俺はその肝心なことが気になったので一旦文句を言うのを止めた。
「頑張れよ?……ふふっ」
―いやいやちょっと待て〜!!何なの今の?
えっ肝心な一言ってそれ?たったのそんだけ?
しかも最後のふふっって何?軽く嫌味だよね?
いうならはっきり言ってくれよ!!
俺は心の中で大量にツッコんだ。
しかし、そのツッコミが終わった頃には姉の姿はもうどこにもなく、
ただそこには、ドアの金具が壊れて靴置き場にボロボロのドアが、
倒れ掛かっている状態になっているだけだった。
「あ〜あ…。修理する場所増やしやがって…」
俺は途方にくれながら太陽の日が沈むのをただただじ〜っと見続けていた……。